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姦譎の華
第11章 11
 あそこに入れば、寂滅がもたらされるのではないだろうか。美脚を抱えてしがみつき、祠の中へ分け入ると、奥殿まで踏破するのを待たずして亀頭が熔け落ちた。腰椎が外れてバラバラになる、総身から精気が吸い出され蝉殻となる、そんな危殆に瀕してなお、落涙しながら腰を振らずにはいられなかった。

 視界を取り戻したら、天井を見上げていた。自分もまた、テーブルから転げ落ちたのだ。

 打撲痛を感じつつ立ち上がると、聖女は島尾にも姦されていた。

 女性に、どころか、老若男女問わず、誰からも相手にされない自分たちの苦悩を肩代わりするかのように、眉を寄せ、唇を結んで苦難に耐えている。島尾が射出を終え、汚辱の痕新しい祠扉を見たら、もう一度梵我をひとつとしたい衝迫に打ち克つことはできなかった。

(はあっ……、た、多英様……、多英様……おゆるしを)

 一滴残らず搾り切っても解脱は訪れず、島尾に引きずられて応接室を後にした。朦朧と始発に揺られて自宅へと帰ると、定刻通り出社しようと思ったら、あと一時間後には用意を始めなければならなかった。少しでも眠ったほうがいいだろう、とりあえず風呂に入るべきだ。夢遊したまま全裸となったが、稲田の手は脱ぎ捨てたスーツのポケットへと伸びていた。

 指先にサラリとした感触があった瞬間、文字通り精根尽き果てていたはずの肉槌が真上を向いた。秘布を握りこんで鼻孔へ押し当て、左手は肉幹を一往復させると、

「おほっ……!」

 たちまち会陰が痙攣して、先端から薄白のしぶきが飛び散った。いったい余勢なのやら、先走りなのやら、射精そのものなのやら、とにかくとんでもない秘宝を手に入れてしまったことだけは間違いなかった。結局出勤まで残されていた時間を何発もの偽射で費やし、家に置いておくのも不安で仕方なく、護身符を携えるような気持ちで再びポケットへと忍ばせて出社してきたのだった。

 持ってきてよかった──輪を最大に開き、額と顎に引っ掛けるようにして覆面する。
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