この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
姦譎の華
第13章 13
まだ彼は疑わしく思っているようで、ドアの前は静かだった。とっとと行け、と怒鳴りつけたい衝動に歯噛みしていると、くれぐれもよろしくお願いします、と念を押し、ようやく、足音が踊り場の向こうへと遠ざかっていく。
「……はあっ」
廊下側の扉が閉まる音が聞こえると同時に膝が折れた。島尾は抱きとめず、稲田も支え切れず、多英はその場に崩れ落ちた。
「へへ……、……へへへ」
傍にしゃがんだ島尾は、「ずいぶんと乱れたもんだな。そんなにモミモミがキモチよかったか?」
肩に手が置き、喫煙者特有の臭い息を吐きかけてくる。
「ふ……、ふざけないでっ……!」
「べつにふざけてなんかないぜ? 腰クネクネさせてよぉ、どう見たって感じてたよなあ」
「それは……嫌だったからに決まってるでしょう? 振り払おうとしてただけよ」
「そうかい? のわりには乳首もコリッコリだったけどな。……よっと」
まだ息を乱しつつも睨みつけてやっているのに、島尾はペロンとバストの丸みを撫で上げた。もともと思いやりも何もあったものではなかったが、できて当たり前だと言わんばかりの手つきに、
「いい加減にして!」
衝動的に、今度は握り拳で殴りつけた。スマートにキャッチできず、したたかに頬骨を打撃されてから拳をとらえた島尾だったが、痛みにも怒りにも不細工面を歪めることなく、薄ら笑いを浮かべている。
「いってえなあ。天下の華村多英様がこんな凶暴なことしちゃ、みんなをガッカリさせちまうぜ?」
「く……、それだけのことをされたからよ。離しなさいっ」
「あんただって喜んでだじゃないか。さすがはスケベもスケベ、ドスケベの美人秘書様だ」
腕を引こうとしたが、いくら筋肉を張っても、男の本気を出されては手首を振り切ることはできなかった。言いたい放題な上に、もう一方の手が表を上向けてバストの下側へと伸びてくる。
この体は、お前のような見目も心映も醜い男が、気軽に触っていいものではない──
「……はあっ」
廊下側の扉が閉まる音が聞こえると同時に膝が折れた。島尾は抱きとめず、稲田も支え切れず、多英はその場に崩れ落ちた。
「へへ……、……へへへ」
傍にしゃがんだ島尾は、「ずいぶんと乱れたもんだな。そんなにモミモミがキモチよかったか?」
肩に手が置き、喫煙者特有の臭い息を吐きかけてくる。
「ふ……、ふざけないでっ……!」
「べつにふざけてなんかないぜ? 腰クネクネさせてよぉ、どう見たって感じてたよなあ」
「それは……嫌だったからに決まってるでしょう? 振り払おうとしてただけよ」
「そうかい? のわりには乳首もコリッコリだったけどな。……よっと」
まだ息を乱しつつも睨みつけてやっているのに、島尾はペロンとバストの丸みを撫で上げた。もともと思いやりも何もあったものではなかったが、できて当たり前だと言わんばかりの手つきに、
「いい加減にして!」
衝動的に、今度は握り拳で殴りつけた。スマートにキャッチできず、したたかに頬骨を打撃されてから拳をとらえた島尾だったが、痛みにも怒りにも不細工面を歪めることなく、薄ら笑いを浮かべている。
「いってえなあ。天下の華村多英様がこんな凶暴なことしちゃ、みんなをガッカリさせちまうぜ?」
「く……、それだけのことをされたからよ。離しなさいっ」
「あんただって喜んでだじゃないか。さすがはスケベもスケベ、ドスケベの美人秘書様だ」
腕を引こうとしたが、いくら筋肉を張っても、男の本気を出されては手首を振り切ることはできなかった。言いたい放題な上に、もう一方の手が表を上向けてバストの下側へと伸びてくる。
この体は、お前のような見目も心映も醜い男が、気軽に触っていいものではない──