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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第5章 慣れの問題
(私は、リアンと結婚するんですもの。早く、慣れなくちゃ……夫が自分を愛してくれるのを嫌がるなんて、妻として、失格よ……)
ビスカスに真綿に包まれる様に守られていた娘時代は終わったのだ、とローゼルは思いました。
仕えるべき「お嬢様」としてならともかく、女としてはビスカスには別に守らねばならない女性が居るのです。それは切なく淋しくやるせない事でしたが、そう思う事すら結婚を控えた身には悪なのだと思うと、ローゼルの目には新たな涙が浮かびました。
こんな気持ちで泣いている事がリアンに知れたら、その涙すら許されない、罪深い物だと言われるでしょう。
(今だけだから、どうか許して……結婚したら、こうやって泣く事も、許されないのですもの……)
ローゼルは枕に顔を押し付けて声を殺して、存分に泣きたいだけ泣きました。