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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第7章 甘え方の問題
「あいつ、僕を敵視してるでしょ?ロゼ付きが長いから、嫉妬してるんだろうけど……それに、護衛は僕も連れて来るから、それで事足りると思うしね」
「リアン、ビスカスはあなたを敵視なんて」
「本人は敵視してる気が無いとしても、僕が気になるんだよ。それに、能力的な問題も有る。ロゼより小さいよね、あいつ。護衛としちゃあ、頼り無くない?」
「そんな……ビスカスは優秀な護衛よ。今までだって、頼りなくなんて……っ?!」
リアンは立ち尽くして話し続けるローゼルに近付くと、体を無造作にぎゅっと引き寄せて抱き締めました。
「っ!……ねえ、止めて、リアン」
「ロゼは、あいつの肩を持つのかい?ますます、辞めて貰わなきゃいけないなあ」
「あ、やっ……」
上着の裾から手を忍ばされたローゼルは、体を捩って眉を寄せました。
冷たい手で肌に触れられるのもぞっとしましたし、今触れられている脇腹から腰にかけての周辺は、リアンだけでなく誰に触られても、服の上から触られるのさえ不快で落ち着かなくなる場所だったのです。
「ね、ちょっと待って、リアンっ……私も、お話が」
「しーっ。話なんて、後ででもどこででも出来るよ……せっかく二人切りなんだから……」
「いやっ……そこ、触ら」
「ロゼ。こういう時、妻は口を閉じるものだよ?」
「っ!!!!!!」
ローゼルの話を、聞いてくれるどころか。
リアンは冷たい掌で、笑いながらローゼルの口を塞ぎました。
リアンにしてみれば冗談の様な、軽い気持ちでした事でしたが。
(……ぅ……)
突然口を塞がれたローゼルは、急に息が出来なくなりました。
真っ黒な何かが自分の中を埋め尽くし、ここから早く逃がれなくてはという切迫した恐怖で、頭の中が一杯になりました。
「……ロゼ?ロゼっ!?」
呼吸を乱し、突然崩れる様にしゃがみ込んでうずくまり、自分を抱く様にして震え出したローゼルを見て、リアンは激しく動揺しました。