この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第7章 甘え方の問題
「誰か!誰か居ないか?!ロゼ姉さんがっ……医者を呼べ!!」
「お嬢様っ!?」
部屋の扉を開け、廊下に向かって叫んだリアンの声を聞きつけたのは、ビスカスでした。
血相を変えて部屋に駆け込んだビスカスは、床に崩れたローゼルを認めると、床から体を抱き起こしました。そして一瞬全身に目を走らせてから自分の膝にもたれさせ、両手で包む様にして、ローゼルをしっかり抱きました。
「……お嬢様ー?……聞こえやすかー?」
ローゼルを腕に抱くと、ビスカスの様子は部屋に入ってきた時と一変しました。
「……もう、大丈夫ですよー……いっぺん、息を詰めてみやしょうか……ああ、そうです……」
いつもよりほんの少し抑えた声ではありますが、それ以外はいつもと変わらず、全く焦っても驚いてもおりません。
まるで、今日の天気について話しているかの様にのんびりと、震える背中を指先でゆっくり軽く叩きながら、ローゼルに話し掛けました。
「……息を、ゆーっくり、吐けますか?そうそう……なるったけ、ゆっくりです………そのまんま、急がねぇで……そう、お上手だ……」
ビスカスの声を聞いているうちに、ローゼルの呼吸は少しずつ落ち着いて、震えも収まっていきました。
ビスカスはローゼルに語り掛けながら、呼吸の速さより少しゆっくりと、背中をとん、とん、と叩いておりました。やがてローゼルが落ち着いて来たのを見て取ると、ビスカスは大きく安堵の溜め息を吐きました。
そして、手は止めないまま、リアンを鋭く見上げました。