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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第9章 初夜の問題
「希望する色は、赤と白と桃色と黄色……他の色は、駄目って事か」
「ええ。我が儘言って、悪いのだけど」
「いや。好きに言ってくれて良い。誰でも希望や……事情は、有るからな」
そう言ったサクナは、目を伏せてお茶を一口飲みました。
「……お。こりゃ、あの茶だな。まだ有ったのか?」
「これが最後よ。勿体ないから毎日じゃなく、時々少しずつ飲んでいたのだけど」
ローゼルは先日サクナに貰った、柑橘の香りのするお茶の試作品を注いだカップを口許に運び、深く香りを嗅ぎました。
「……いつものお茶と、何が違うのかしら?何度も考えたけど、分からなかったわ」
お茶を味わいながら少女の様な笑みを浮かべるローゼルを見て、サクナは少し躊躇いながら、口を開きました。
「……実は、これを作ったのは、俺じゃねぇんだ」
「え?」
「お前の御付を離れちまって、暇ぁ持て余してる奴の作だ」
「……えっ……」
ローゼルはサクナの言葉に驚いて、目を見開きました。
「うそ……だって、これ、ナイフを使うのじゃ……」
「ああ。あいつはナイフを使うなぁ大の苦手だ。だが、やり方をあいつが分かる様に教えてやって、時間を掛けりゃあ、出来ねぇ訳じゃねえ」
ローゼルと同じ様にお茶の香りを確かめると、サクナもまた一口お茶を飲みました。
「ちゃんと、旨いだろ?あいつがたっぷり時間を掛けて、丁寧に作ったんだ。不味く感じる訳が無え」
「……そんな……」
「こいつがお気に召したんだよな?……お前にやるよ」
サクナは荷物から小さな瓶を取り出して、ローゼルに渡しました。
乾かして縮んでいるので分かり難くは有りますが、よく見ると確かに、中に入っている果物の切り方は、厚みや形が不揃いです。いつも見ている物と比べると、明らかに素人の作った物だと分かります。
「ええ。我が儘言って、悪いのだけど」
「いや。好きに言ってくれて良い。誰でも希望や……事情は、有るからな」
そう言ったサクナは、目を伏せてお茶を一口飲みました。
「……お。こりゃ、あの茶だな。まだ有ったのか?」
「これが最後よ。勿体ないから毎日じゃなく、時々少しずつ飲んでいたのだけど」
ローゼルは先日サクナに貰った、柑橘の香りのするお茶の試作品を注いだカップを口許に運び、深く香りを嗅ぎました。
「……いつものお茶と、何が違うのかしら?何度も考えたけど、分からなかったわ」
お茶を味わいながら少女の様な笑みを浮かべるローゼルを見て、サクナは少し躊躇いながら、口を開きました。
「……実は、これを作ったのは、俺じゃねぇんだ」
「え?」
「お前の御付を離れちまって、暇ぁ持て余してる奴の作だ」
「……えっ……」
ローゼルはサクナの言葉に驚いて、目を見開きました。
「うそ……だって、これ、ナイフを使うのじゃ……」
「ああ。あいつはナイフを使うなぁ大の苦手だ。だが、やり方をあいつが分かる様に教えてやって、時間を掛けりゃあ、出来ねぇ訳じゃねえ」
ローゼルと同じ様にお茶の香りを確かめると、サクナもまた一口お茶を飲みました。
「ちゃんと、旨いだろ?あいつがたっぷり時間を掛けて、丁寧に作ったんだ。不味く感じる訳が無え」
「……そんな……」
「こいつがお気に召したんだよな?……お前にやるよ」
サクナは荷物から小さな瓶を取り出して、ローゼルに渡しました。
乾かして縮んでいるので分かり難くは有りますが、よく見ると確かに、中に入っている果物の切り方は、厚みや形が不揃いです。いつも見ている物と比べると、明らかに素人の作った物だと分かります。