この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第10章 痛みの問題
「ロゼ。リアンはこの地に馴染んでくれようとして居るんだよ。婚約式なら披露宴と違って、花嫁を親族から花婿に渡す踊りだけだ。短いから、試してみるには良いんじゃないか?」
「だけど……」
「大丈夫だよ!ロゼの足を引っ張らない様に、頑張って練習するから」
ローゼルにはリアンが踊りを憶えられるかどうかの他にも不安な事が有ったのですが、それをはっきり口にするのは躊躇われました。漠然とした不安でしたし、今まで似た事が有った時にリアンにやんわり話しても、笑い飛ばされていたからです。
(……私の、気にしすぎね)
ローゼルは、踊りの件を了承しました。
その後リアンは、タンム卿と熱心に練習をしている様でした。しばらく経って、ローゼルと合わせる練習が始まりました。
自分から踊りたいと言い出しただけあって、リアンは早々に踊りの基本を憶え、着々と上達して行きました。二人の踊りは、婚約式の前々日には十分人に見せられる位になりました。
「どう、ロゼ?」
「凄いわ、リアン」
「うん。これなら心配無いね」
タンム卿に太鼓判を押され、リアンは満面の笑みを浮かべました。
「でも、そんなに私を回さなくっても良いのよ?婚約式なのだし、大人しくても誰も文句は言わないわ」
「そう?大人しいと、見てて詰まらなくない?」
実のところ、リアンはローゼルをリード出来る程には熟達してはおりません。そこまでは無理だと判断したタンム卿とローゼルは、リアンがリードしている様に見える程度に踊れる事を目標にしました。ローゼルはリアンの踊りに合わせ続けて踊って居るので、突然何か変えて来られると、頭も体も疲弊しました。
「詰まらなくは、無いと思うけど……」
両手をもじもじと擦りながら言うローゼルと、膨れ掛けたリアンの双方に、タンム卿は軽く釘を刺しました。
「リアン。大人しく踊る方が、上品だと受け取られるのだよ。今回は御祖母様も出席なさるからね、大人しい方が無難だ。派手にしたいなら、結婚式で幾らでも出来るよ。
ロゼ。たった一日、たった数分の事だ。大会よりも骨かもしれないが、ここの習慣に合わせる為にわざわざ練習を重ねてくれたリアンに折れてやってくれ」
「分かりました、兄さん」
「……分かりました、お兄様」
リアンは微笑み、ローゼルは俯いて服の袖を撫でました。
そして、婚約式当日を迎えたのです。
「だけど……」
「大丈夫だよ!ロゼの足を引っ張らない様に、頑張って練習するから」
ローゼルにはリアンが踊りを憶えられるかどうかの他にも不安な事が有ったのですが、それをはっきり口にするのは躊躇われました。漠然とした不安でしたし、今まで似た事が有った時にリアンにやんわり話しても、笑い飛ばされていたからです。
(……私の、気にしすぎね)
ローゼルは、踊りの件を了承しました。
その後リアンは、タンム卿と熱心に練習をしている様でした。しばらく経って、ローゼルと合わせる練習が始まりました。
自分から踊りたいと言い出しただけあって、リアンは早々に踊りの基本を憶え、着々と上達して行きました。二人の踊りは、婚約式の前々日には十分人に見せられる位になりました。
「どう、ロゼ?」
「凄いわ、リアン」
「うん。これなら心配無いね」
タンム卿に太鼓判を押され、リアンは満面の笑みを浮かべました。
「でも、そんなに私を回さなくっても良いのよ?婚約式なのだし、大人しくても誰も文句は言わないわ」
「そう?大人しいと、見てて詰まらなくない?」
実のところ、リアンはローゼルをリード出来る程には熟達してはおりません。そこまでは無理だと判断したタンム卿とローゼルは、リアンがリードしている様に見える程度に踊れる事を目標にしました。ローゼルはリアンの踊りに合わせ続けて踊って居るので、突然何か変えて来られると、頭も体も疲弊しました。
「詰まらなくは、無いと思うけど……」
両手をもじもじと擦りながら言うローゼルと、膨れ掛けたリアンの双方に、タンム卿は軽く釘を刺しました。
「リアン。大人しく踊る方が、上品だと受け取られるのだよ。今回は御祖母様も出席なさるからね、大人しい方が無難だ。派手にしたいなら、結婚式で幾らでも出来るよ。
ロゼ。たった一日、たった数分の事だ。大会よりも骨かもしれないが、ここの習慣に合わせる為にわざわざ練習を重ねてくれたリアンに折れてやってくれ」
「分かりました、兄さん」
「……分かりました、お兄様」
リアンは微笑み、ローゼルは俯いて服の袖を撫でました。
そして、婚約式当日を迎えたのです。