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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第2章 仕方のない問題
バンシルはスグリ姫の侍女ですから、信用できない人間という訳では有りません。一応は、面識も有ります。ローゼルは訝しみながらもバンシルを部屋に通すように侍女に告げ、二人で会ってみることに致しました。
「こんにちは、ローゼル様」
「こんにちは、バンシルさん」
バンシルは前に会った時の侍女のお仕着せでも無く、サクナとスグリ姫の婚約披露の会の時の深い紺青のドレスでも無く、都風の普通の服を着ておりました。
「突然お邪魔して、申し訳御座いません。落ち着きませんので、私の事は呼び捨てでお願い致します」
「分かったわ。……バンシル。ご用件は、何かしら?」
「お知らせと、お願いが幾つか有って参りました」
「私に?」
「ええ。私の主は、そろそろ都に戻ることになりそうです。滞在中はスグリ様が大変お世話になり、ありがとうございました」
「……そう……お戻りになるのだったわね」
バンシルの言葉に、ローゼルは頷きました。
スグリ姫は婚約披露も含めたこの地での結婚の準備の為に、一時的に婚約者であるサクナの屋敷に滞在しに来ていたのでありました。今ではすっかり夫婦然としていて、それを誰も不思議に思っていないサクナとスグリ姫ですが、正式な婚礼は来春です。
都での結婚準備の為も有り、結婚前の最後の年越しを家族と過ごす為も有り、婚約披露の会を終えたら、都に戻る事になっていたのです。それが少し伸びたのは、スグリ姫を庇って怪我をしたビスカスが快復するのを見届ける為でした。
「……付きましては」
スグリ姫が去る事を思い出し、ほんの少し淋しい様な想いで居たローゼルに、バンシルは話の続きを語り始めました。
「ローゼル様のお見合いの件は、スグリ様には知られない内に出立したいのです」
バンシルにそう言われて、ぼんやりと話を聞いていたローゼルは、驚きました。
「……そうおっしゃるあなたは、どうして私のお見合いの事をご存知なのかしら?」
見合いの件はバタバタと決まったので、まだこの家の中のほんの数人しか知らない筈です。
ローゼルは、突然見合いをする羽目になった時のあれこれを、苦い気持ちで思い返しました。
「こんにちは、ローゼル様」
「こんにちは、バンシルさん」
バンシルは前に会った時の侍女のお仕着せでも無く、サクナとスグリ姫の婚約披露の会の時の深い紺青のドレスでも無く、都風の普通の服を着ておりました。
「突然お邪魔して、申し訳御座いません。落ち着きませんので、私の事は呼び捨てでお願い致します」
「分かったわ。……バンシル。ご用件は、何かしら?」
「お知らせと、お願いが幾つか有って参りました」
「私に?」
「ええ。私の主は、そろそろ都に戻ることになりそうです。滞在中はスグリ様が大変お世話になり、ありがとうございました」
「……そう……お戻りになるのだったわね」
バンシルの言葉に、ローゼルは頷きました。
スグリ姫は婚約披露も含めたこの地での結婚の準備の為に、一時的に婚約者であるサクナの屋敷に滞在しに来ていたのでありました。今ではすっかり夫婦然としていて、それを誰も不思議に思っていないサクナとスグリ姫ですが、正式な婚礼は来春です。
都での結婚準備の為も有り、結婚前の最後の年越しを家族と過ごす為も有り、婚約披露の会を終えたら、都に戻る事になっていたのです。それが少し伸びたのは、スグリ姫を庇って怪我をしたビスカスが快復するのを見届ける為でした。
「……付きましては」
スグリ姫が去る事を思い出し、ほんの少し淋しい様な想いで居たローゼルに、バンシルは話の続きを語り始めました。
「ローゼル様のお見合いの件は、スグリ様には知られない内に出立したいのです」
バンシルにそう言われて、ぼんやりと話を聞いていたローゼルは、驚きました。
「……そうおっしゃるあなたは、どうして私のお見合いの事をご存知なのかしら?」
見合いの件はバタバタと決まったので、まだこの家の中のほんの数人しか知らない筈です。
ローゼルは、突然見合いをする羽目になった時のあれこれを、苦い気持ちで思い返しました。