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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第2章 仕方のない問題
* * *
「全く、お前は……あいつなら、何でも言うことを聞くと思ってるんだろう」
「苦し紛れの策で何とかなる様な事では無いぞ。だから前々から見合いをしろと言っていたのに」
「お前の気持ちは分からないでも無い。だが、いつまでも子どもで居られる訳では無いのだよ。今回の出来事は良いきっかけであろう」
刺されたビスカスが手当てを受け、領主一家が今後の方策を話し合って居た時。
近々後継に据えられる事になり、家の為に一刻も早く結婚しろと命じられたローゼルは、ビスカスを婿に取ると父親と兄達に告げました。
そう口にした途端に全員が、反対にすらならない様な、呆れ返った話すぎて話にならない、という反応を返して参りました。ローゼルは、適当な事を言うなだの真面目に考えろだのと口々に言われても、違う、本気だ、ちゃんと約束していると、首を振り続けました。
「皆様。少し、宜しいでしょうか」
話が行き詰まって一同に疲れが見えて来た頃、サクナと共に話を傍らで聞いていたクロウが、控え目に口を挟みました。
「何だ」
「ローゼル様のおっしゃっている事は、決してその場しのぎでは無いと存じます」
「何っ!?」
「ビスカスが気を失う前に約束された、とおっしゃっておられましたね」
クロウに問われたローゼルは、頷きました。
「私は、ちょうどその場に駆け付けて居りました。その際、お二人のご様子を見ております」
「何だって」
一同に向かって、クロウは驚くべき一言を放ちました。
「声は聞こえませんでしたが、お二人は、接吻なさっていらっしゃいました」
「何っ!!ローゼル、それは本当か?!」
「……本当ですっ……」
父親に驚愕の表情で問われたローゼルは、真っ赤になって俯きました。
「待て。接吻は、同意の印にはならないのではないか」
ローゼルの長兄がそう言うと、浮き足立っていた一同は、それもそうかと落ち着きました。
確かに、口づけしていたからといって、必ずしもお互いが好意を持っているとは限りません。どちらかが一方的に口づける事も、出来ない事では無いからです。女からというのは珍しい事かもしれませんが、この場合の女というのは、ローゼルです。領主一家もその場に居たサクナも、ローゼルならばやりかねない、と思ったのです。