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逆転 (大人の教育をしてやるよ!)
第1章 ふれアい
紅葉はビクッと小さく肩を動かした。
「なっ…何の事ですか?私は……」
紅葉は上手く誤魔化そうとしたが…
「『倉林 紅葉』…だろ?」
「!!?」
男子生徒の言葉に紅葉は血の気がサーっと引いてきたのがわかる。
「……っなんでっ!私のこと…………っ!?」
紅葉は眼を見開き一歩後去りすると、男子生徒は片手で頭をクシャリとかいて軽く溜め息をすると
「やっぱり覚えてないか…まあ、もう5~6年経っているからな。覚えてないのもムリもないか。」
そう言うと男子生徒は紅葉の方を向き、
「俺だよ!狼谷 陽介(カミヤ ヨウスケ)。
覚えてないか?よく楓…お前の兄貴と遊んでたろ?」
「あっ!」
楓というのは私の二つ年上の兄である。
楓兄と狼谷 陽介とは幼稚園の時からの親友であり、よく家に遊びに来て勉強したりゲームしたり、近くの公園でキャッチボールして遊んでいたのを思い出した。
「やっと思い出したか……」
…そうだった!あの時私はこの人が恐くて近寄れなかった。
別に変な意味はない。
ただこの人…今もそうだが『話しかけんなっ!!』オーラを纏っていて……しかもっ!射すような鋭い瞳が子供ながら恐かった…………!
この人が遊びに来る度に私は自分の部屋にこもって、帰るのを待っていた。
楓兄の親友だし悪い人ではないのであまり失礼な事は言えない。
それに…自分の部屋の窓から近くの公園が見えて、楽しそうに楓兄とキャッチボールする姿は………なんとなく好きだった。
「……………ハイ。」
観念したように紅葉は頷く。