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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
「樫野さん、マジで助かる。電話もらって、救世主かと思ったもん」

理志との電話の数日後、芙実は理志の職場に来ていた。プロジェクマネージャーに電話して、短期でバイトとして使ってくれないかと頼んだのだった。

「見てもらってわかると思うけど、だいぶ酷い状態。樫野さんに担当してもらいたいところはここと、ここと・・・・・」

マネージャーが印をつけていく。芙実はそれをさえぎって言った。

「すみません、こっち、全然手つけてないですよね。これ全部私やります。それから、他のあいてる部分どんどんまわしてください」
「え?いや、それはさすがに・・・・・・」
「していいなら残業します。短期のアルバイトですし、前の職場で二徹とかザラだったので、全然平気です」
「ほんとに?かなり大変だと思うけど・・・・・・」
「仕様もだいたい理解しましたし、似たようなシステムやったことあるので大丈夫です」

芙実は理志がキャンプフェスに参加できるよう、自分も戦力になってペースアップさせるために来たのだ。
やるからにはとことん全力でやるつもりだった。

「頼もしい!じゃあ、お願いします。今回大幅に変更になったから人数追加してるんだけど、ここだけの話、戦力にならない人も何人かいてね。最初から樫野さん呼べばよかったな。でも、急にどうしたの?就職活動中なんだよね?」
「あー・・・・なかなか良いところが見つからなくて・・・・・。とりあえずお金は必要なので、アルバイトでも雇ってもらえないかなと・・・・・。すみません、急にお願いして。あの、派遣会社の方には・・・・・」
「あ、そこは大丈夫。心配しないで。いやー、こちらとしてはありがたいよ。じゃ、席案内する。急で用意できなくて、端っこの長テーブルなんだけど。ごめんね」
「大丈夫です」

理志には内緒にしていた。芙実を見て驚くか、怒るか・・・・・・。

でももう来てしまったのだから、やるしかない。実際、アルバイト代がもらえるのは嬉しいことだった。きっちり仕事はやるつもりだった。

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