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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
「私、花森さんのことすごいなっていつも思ってました。毎日バリエーション替えておしゃれして、メイクや髪の毛も洋服に合わせたりして・・・・・・。おしゃれするのだって大変なことです。毎日ちゃんとしてきてえらいと思います。仕事は数こなしていったら必ず出来るようになります。今回はみなさん教えてあげる余裕がないみたいだけど、ピークが過ぎたらまた丁寧に教えてくれるはずです。花森さんみたいに可愛い子にお願いされて断るなんて、みなさん、相当疲れてるんです」
「樫野さん・・・・・・」

芙実はゆかりを見て微笑んだ。

「私がいる間、何でも聞いてください。時間もったいないですし、花森さんも立派な戦力ですよ。私はあとでねって放置したりしませんから。約束します」
「やだ~・・・・。樫野さん、素敵すぎる~。きゅんきゅんしちゃったよ~」

ゆかりは再び涙を流した。こういう時は人の優しさが身にしみるものだ。

「私、何もお礼できない。コーヒーご馳走するくらいしか・・・・・」

芙実は言われて、頭にあることが浮かんだ。

「あの・・・・・・。では、交換条件で、こういうのはどうでしょう」
「交換条件?」
「私・・・・・・メイク、勉強中で・・・・・・。あと、ヘアアレンジとかも・・・・・・。花森さん、教えてくれませんか?」
「そんなの、いくらでも教えるよ~。そっかぁ、樫野さんも興味あるんだね。そりゃそうだよね。女の子だもん」
「よろしくお願いします」

ゆかりに笑顔が戻った。やっぱり可愛い子は元気でないといけない。
芙実も嬉しくなって微笑んだ。

ゆかりは早く先ほどのページを完成させたい!と張り切って、先に席に戻っていった。

芙実もすぐに戻ろうと、残っているカフェオレを飲み干そうとした時だった。

「樫野さん、本領発揮ですか」

理志は自販機に近づくとコインを入れた。
久しぶりに理志と対面して緊張する。気まずい雰囲気のまま連絡を取っていなかったから尚更だ。

「みんな、すごいすごいってびっくりしてる。スーパープログラマーだって」
「・・・・・それは言いすぎです。修羅場に慣れてるだけです」
「惚れ直した」

芙実はギクリとして周りの様子を伺う。
誰も近くにはいないが、どこで聞かれているかわからない。
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