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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
「私だってしたいです・・・・・・。でも、キャンプフェス、一緒に行きたいから・・・・・」
「・・・・・わかったよ。そのかわり、テントでさせてね」
「え?」
「キャンプのテントの中で69したり、M字開脚でオナ・・・・・・」
「!!!」

芙実は慌てて手で理志の口を塞いだ。

理志はクスクス笑うと、もう一度芙実の唇を吸った。

理志のせいでテントでの妄想が消えなくなってしまったではないか。
芙実は顔をぱんぱんと叩いて気合を注入する。

必ず理志とフェスに行くんだという気持ちで、芙実は再び仕事に集中した。




最初こそ気合十分で挑んでいた芙実だったが、二週間もすると、いよいよ疲弊してきた。
残業も出来るだけしたし、ペースの遅い、特に女の子たちの世話をした。
女の子たちの方も、芙実なら尋ねやすいのか積極的に質問にくるようになった。
女性社員たちからの信頼は絶大だった。

初めのうちは丁寧に答えていた芙実だが、疲れてくると心の中で呟く毒を口に出すようになっていた。これは前の職場でもそうで、そういう状態になるとみんなに裏樫野と呼ばれていた。

「ソース汚くて見るの疲れます。人に見せるの前提でやってください」
「ここ、どういうつもりでプログラミングしてますか?何がしたいのか全くわかりません」

それまでオブラートにつつんで指摘していたが、あまりに対応が多すぎてそれも疲れてくる。
皆も芙実の変化に驚いていたものの、だんだんそれがクセになってくるものが続出した。

「樫野さんにけなされるとゾクゾクする~」
「今日のブラック樫野さんは特にキレッキレだったなー」

ここではブラック樫野という異名がついたみたいだ。
芙実も心に余裕がなくなっていたが、それでも誰よりも作業ペースは早く、徐々にオンスケに近づいている手ごたえがあった。

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