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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
昼休みに女の子たちとおしゃべりするようにもなった。ゆかりがメイクをしてくれたり、ネイルを綺麗にしてくれたりして、芙実もみんなとの交流を楽しむようになっていた。

一日のほとんどを仕事に費やし、家には寝に帰るような生活は久しぶりだ。
まだ帰れるだけマシだ。それでも夢でもコーディングするようになった頃、芙実の中の疲労もかなりのものになっていた。

芙実はあともう1ページをどうしても今日中に終わらせたかった。
しかし、眠気が勝って集中できない。
時計を見ると夜の9時だった。
帰って明日やった方がいいか・・・・・。でも、キリの良いところで終わらせて、明日から新しい機能に取り掛かりたかった。

まだちらほら残業で残っている。女の子もまだ数人いた。みんなよろよろになりながら頑張っている。芙実は屋上に行って外の空気を吸いにくことにした。


屋上に出ると、風が強く、思ったより寒かった。
ストールを持ってきたらよかったと身を縮める。

寒さのおかげで目が覚めた。
芙実は柵に寄りかかって、夜景をぼんやり眺めた。
重たそうな雲がどんよりと浮かんでいる。

(理志さんとイチャイチャしたい・・・・・・)

理志の姿を思い出そうと目を瞑る。
理志の顔が浮かぶ前に暗い視界にバーっとソースコードが流れていく。

「・・・・・ふはははは!」

芙実は意味もなく面白くなって、声に出して笑ってみた。
頭がプログラムでいっぱいで、どこか壊れておかしくなったみたいだ。

(末期症状だわ・・・・・・あーあ・・・・・・。やるんじゃなかったかなー・・・・・・)

芙実は少し後悔していた。やはりこういう現場は身体と心にくる。
もはやキャンプフェスも行かなくてもいいかなと思い始めていた。

今は、社員の女の子たちが慕ってくれることでモチベーションを保ってるようなものだった。忙しい中でも女の子たちと仲良くなれたことは嬉しかった。

「何が面白いの?」

背後から声がして、ギクーーッ!!と飛び上がる勢いで驚いた。

理志が芙実の隣に来て柵に寄りかかった。眼鏡を外している。

思わぬ姿を見られて芙実は赤面した。

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