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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
理志にビールを飲むか尋ねる。ちょうだいと言われて、グラスに入れて手渡す。
夫婦みたいで芙実は嬉しくて、自分も席につくとビールを飲む理志を見てにこにこした。
理志は美味しい美味しいと言って食べてくれた。そんな理志を見てるだけで幸せだった。

「・・・・・・で?今カレの母校で元カレといちゃいちゃして楽しかったって話の続きは?」
「私、そんな風に話しました?」
「だってそういうことでしょ?んで?つきあってた頃のこと思い出して、盛り上がっちゃった?」
「違います。そういうことじゃなくて。私、今日のお昼に、その・・・・・・理志さんの元カノさんに会ったじゃないですか」
「・・・・・やっぱりそれか」

理志は小さくため息をついた。

「あの時、なんかわけわからなくなっちゃって・・・・・・。すごい、嫉妬しちゃって・・・・・・。元カノさん、すごい素敵な人だから、もう完全に自信喪失しちゃって・・・・・。理志さんが私とつきあってるのがなぜなのかわからなくてグルグルしちゃって」
「あれ、ほんとに素敵だと思ってるの?俺からしたら・・・・・・」
「素敵ですよ!もう、女子の憧れそのままっていうか。生まれ変わったら、ああなりたいって思いますもん」

理志は納得いかない様子で首をかしげている。

「とにかくひどく落ち込んで。で、その後に、どういうわけか私も元カレに遭遇しまして・・・・・」
「仕返しにキスしてやったと」
「違う違う。・・・・・・って、そういう理志さんこそ、元カノさんに髪の毛触らせてたじゃないですか!」

芙実は突如思い出して文句を言った。

「むこうが勝手に触ってきたんだよ。そんなことよりたこ焼き一緒に食べる方が重罪だ」
「基準がおかしいです」
「重罪だよ!想像しただけてムカムカする」
「・・・・・・・・」

髪に触れた方が絶対重罪だと思うと追撃したかったがやめた。どっちもどっちな気がしたからだ。

「・・・・・とにかく、その、元カレに会って、なんていうか・・・・・すごくフラットな気持ちで話ができて」
「フラットな気持ち?」
「はい。なんか、ただ懐かしいだけで、これからまた連絡取りたいなとか、全然思わなくて」
「当たり前だろ。俺がいるんだから」
「そうなんですけど、つまり、理志さんも同じなのかなって思って」

芙実は理志のグラスが空になっていることに気付いて、ビールを注いだ。
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