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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
「理志さんも、今は私って言ってくれたのに、素直にその言葉が聞けなくて。あまりにもモデルさんみたいですごい人だったから・・・・・・。理志さんも私にはああ言いながら心の中では、今でも会ったらドキドキしたりときめいてるんじゃないかって。でも、私がもう元カレのこと、何とも思わないのと同じで、理志さんも何とも思ってないのかなって。理志さんと同じ状況になって初めて気づけたんです」
「・・・・・・・・」
「・・・・・正直言うと、その・・・・・・理志さんとあの人が・・・・・・そういうことしてたのかとか考えると胸が苦しくなるんですけど、でも、そんなこと考えても何も良いことないですもんね・・・・・。過去は消せないし、今までがあったからこそ今の理志さんなわけで、私を選んでくれたのも、今までの恋愛があったからこそじゃないですか。友達にも言われましたけど、大事なのは今つきあってる私と理志さんの気持ちがしっかり結びついていることだと思うので・・・・・。過去のことを気にして結びつきがゆるんじゃうのはいやだなと思って・・・・・」

理志は黙ってビールを飲むと、テーブルに手のひらを上にしておいでおいでするように指を動かした。

「?」

芙実はとりあえず手を重ねておいてみた。
理志がぎゅ・・・・・と芙実の手を握る。

「芙実は・・・・・・すごいね」
「すごい?どういうとこが?」
「俺はだめ。芙実が元カレと会ったって聞いただけで、本気で狂いそうになる」
「理志さん・・・・・・」

理志は芙実の手の甲を愛しそうに撫でた。

「私だって・・・・・・。今日は眩暈もして吐きそうになりました。全然すごくないです。許されるなら、みんなの前で理志さんにキスして、この人は私のものです!って叫びたかったくらいです」
「いいね。それやってよ」
「や、やりませんけど、そのくらいの気持ちってことです」

理志はクス・・・・・と笑って実を乗り出すと、芙実の指にキスした。

「・・・・・・ま、過去に嫉妬するなんて不毛ってことだ。お互いね」

そう言うと芙実の小指を口に含んでれろ・・・・・と舐めた。

小指から首筋へとぞくぞくしたものが走る。

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