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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
11月の土曜日の早朝に、理志が白のSUVに乗って芙実を迎えに来た。

実家の車を借りて、キャンプ道具も大体のものは実家や理志の姉家族のものを借りてきてくれた。

芙実は楽しみすぎて前日からなかなか眠れず、朝も早く目が覚めてしまってマンションの前で理志を待つほどだった。

「おはよう」
「おはようございます!」

理志はアノラック型の茶色いブルゾンに黒い細身のジョガーパンツとブーツというアウトドアファッションで登場し、芙実が想像していた以上に格好良く思わず見惚れた。

芙実の荷物を乗せてから芙実の全身をしげしげと眺める。

「それが花森コーデか。似合ってるじゃん」
「そうですか!?思った以上にカラフルでびびってるんですけど・・・・・」

芙実は、ゆかりから山ガールコーデの服を一式格安で買い取っていた。
今度キャンプに行くという話をしたら、昔キャンプ好きの男と付き合っていて、そのために服を買ったものの、すぐに別れて以来キャンプに行くことも行きたいとも思わず、オークションに出そうと思っていたところだというので、それなら譲ってほしいとお願いしたのだった。

明るい紫のマウンテンパーカーに、ネイビーのリュック、グレーのキュロットの下に様々な色の刺繍が入ったタイツを履く。ベージュのサファリハットまでつけてくれた。

「かわいいよ」

理志が芙実の頭をポンポンと優しく叩いた。
芙実は嬉しくて理志を見上げて微笑んだ。
我慢しようとしても嬉しくてついついニコニコしてしまう。
理志も微笑返す。

「つられて笑っちゃうなぁ」

理志が屈んでチュとキスする。

「!」
「さ、行こうか」
「は、はい・・・・・!」

マンションの住人に見られてないかキョロキョロする。
自動ドアが開いて誰か出てきそうだったので、慌てて車に乗り込んだ。

助手席に乗ってシートベルトをしめると、芙実は感激のあまり胸をじーんとさせて理志を眺めた。

(憧れの・・・・・彼氏が運転する車の助手席・・・・・・!)

理志が運転しているところを見るのも初めてだ。
芙実は胸をドキドキさせて理志の横顔を見つめた。

(かっこいい・・・・・・!二割増しどころじゃない・・・・・・!)

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