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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
芙実は思わずスマホを取り出して理志を撮影した。

「・・・・・なんで?」

理志がチラと横目で芙実を見て尋ねた。

「これはちょっと、あとで何度も確認したいかっこよさなので。彼氏の運転する車に乗るという人生の一大イベントですし」
「大袈裟だなぁ。そう言いながら絶対見ないと思うけど」
「いいえ!絶対見ます!」
「どういう時に見んの」
「疲れた時とか、会いたい時とか」

赤信号で止まると、理志が芙実の手を取って言った。

「それなら、実物見る方がよくない?」
「それは・・・・・・そうですね・・・・・・」

理志は遠まわしに早く一緒に暮らそうと言っているのだ。
理志から早く両親への挨拶に行きたいと言われているのだが、芙実はまだ親に報告できないでいた。
理志が芙実の腕を引いて身体を自分の方に引き寄せて、芙実の下唇を啄ばむようにキスした。
車内が甘い空気になって、芙実は胸をドキドキさせて言った。

「・・・・・信号待ちのキスって、都市伝説かと思ってました・・・・」
「都市伝説って。映画みたい、とかじゃないの?」

理志が笑う。

「あの・・・・信号待ちのたびにするんでしょーか!?」
「したい?」

理志の誘うような笑みを見て、更に胸がドキドキする。
芙実は赤面しながら視線を反らして言った。

「理志さんにお任せします・・・・・」
「じゃあ、しよう」

理志が指にちゅ・・・・とキスする。

「お、爪、どーしたの?かわいい」

淡い紫をベースにベージュのポップな柄がところどころに入った爪に気付いて尋ねた。

「花森さんのお家に洋服を取りに行った時にやってもらいました」

芙実は照れながら言った。
信号が青になって車が動き出す。

「最近仲いいよね。花森と」
「はい。いろいろアドバイスをもらってます。すごくいろいろご存知で、教えてもらうの楽しいです」
「教えてもらうのはいいけど、コンパとか誘われても断ってよ?」
「行きませんよ。行きませんけど・・・・・・・」
「けど?」

芙実はもじもじして理志の様子を横目で見ながら言った。

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