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女ざかりの恋の音色は
第3章 近づきたい
(そんなに難しく考えないで・・・・・・か)

「ほ・・・・・本当にいいんですか?お友達・・・・・西野さんも苦労して手に入れたんじゃ・・・・・・」
「いいんだよ。あいつの親、割と有名な会社の役員で色々コネあるから、いつもラクしてレアなチケット手に入れてんの。そもそも、あいつから言ってきたんだから気にする必要ないよ。行く?行くよね?」

芙実はチケットを凝視した。
行きたい気持ちが強くなって、誘惑に負けてしまった。

「それなら・・・・・・・。行こうかな・・・・・・・」

やったぁと理志はまた少年のように笑った。

胸がきゅ・・・・・と締め付けられる。

(待った待った!何が胸がキュンだよ・・・・・・!だめだめだめ!!)

芙実は財布を手にして、言った。

「いくらですか?先に払います」
「いいよ。玉子焼きのお礼」
「いえいえ、それはだめです。払います」
「樫野さんの『玉子焼きあーん』は、このチケットに匹敵する価値ありだからいいの」

芙実は再び顔を赤くした。もしかしてこの人はわざとこうやってからかって、芙実を恥ずかしがらせようとしているのではないかとさえ思える。

「だめです、それなら行きません」
「わかったわかった。じゃあ、当日もらうよ。じゃ、金曜日恵比寿に7時ね。スマホ貸して。連絡取れるようにしとこ」

そう言って芙実にロックを解除させると、強引にスマホを奪い、自分の連絡先を手際よく登録してさっさと行ってしまった。

思ってもみなかった展開に芙実は心の整理がつかないまま、芙実も追いかけるように屋上を後にした。

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