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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
理志が苦笑して立ち上がると、芙実の手を取った。
DJブースの小屋へと向かう。
簡単な作りの小屋には100人ほどの人が入っていた。
テントから一番離れたここは、朝まで音楽を楽しめると書いてあった。
証明は暗く、電子音の幻想的な音が溢れ出し、建物ごと振動させているみたいだった。
四つ打ちのリズムに誰もが身体を揺らしていた。

(わー・・・・・。かっこいいー・・・・・・)

芙実が普段行くライブハウスとはまた違う、音楽を聴くというより踊りにきているような雰囲気だった。当然子供は一人もおらず、まさに大人の空間だった。
芙実と理志は後方の壁の角に移動した。
テンポの速いリズムと、繰り返されるフレーズを聴いていると、別世界に迷い込んだような気分になった。
目を瞑って聴いていると、ビールのせいもあるのか頭ふわふわしてくる。
音楽とアルコールに酔ったみたいだった。
しばらくその浮遊感を楽しんでいると、突然、顎を掴まれた。
上を向かされて理志が深く唇を合わせてくる。
差し込まれた舌を伝って、ツーと何かが口の中に入り込む。ビールだった。

「!」

芙実は理志から離れると、手で口を抑えた。

「どうした?」
「・・・・・・いえ・・・・・。ビールを口移しで、とか・・・・・・」
「都市伝説?」
「・・・・・・映画みたいです・・・・・・」

理志はふふっと笑うと、深くキスしてきた。
舌が遠慮なく差し込まれ、あっという間に激しいキスになる。

「んん・・・・・!んぅ・・・・・!」

音楽が頭の中をガンガンと刺激する。
延々と繰り返される同じメロディーのせいで非日常的な、異空間に迷い込んだような気分になって、こんなところでダメだという理性が遠のきぼんやりしてくる。
芙実は抵抗することなく理志のキスを受けた。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・ンン・・・・・・」

音楽が止まっても、理志のキスは止まらなかった。
芙実はようやく我に返って、理志から唇を離した。
理志が芙実の耳元で囁く。

「・・・・・・ね。テントに戻ろ?俺、芙実の中に入りたい」
「・・・・・・・・・」

朝からしたばかりじゃないかと言いたかったが、芙実も今のキスですっかり欲情していた。
芙実は黙って頷いた。
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