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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
芙実は理志は結婚後のことなど深く考えていないと勝手に思っていた。
友里はその話に興味を持ったようで、身を乗り出して聞いてきた。

「例えば?具体的に教えて~」
「具体的・・・・・」

理志がうーんと考えていると、浩之が友里を嗜めた。

「友里、初対面の人にあれこれ詮索するのは良くないよ」
「えー?聞きたいなぁ」

理志は全然問題ないですよと言って続けた。

「姉夫婦が一人目の子を出産した後に、家を建てることになって。その間一時的に旦那さんの実家に住むことになって、その時に色々。まあ、旦那さんの親も悪い人じゃないんですけど、いくら良い人でも一緒に暮らすと色々あるみたいで。食事の用意とか掃除の仕方とか、子育てのこととか」
「うんうん。そう思う」
「あたりまえだけど、姉は旦那さんの家の環境で育ってないから、理解しあえないところも多かったみたいで。でも、義理の両親にはっきり言えないから、ストレス相当たまってましたね」

浩之がなんだか居心地悪そうに咳払いした。

「今は?」
「今は家も完成して、同居しなくなって関係も良好になりましたよ。なんだかんだで幸せそうです。まあ、でも一番大きかったのは同居の期間も旦那さんがちゃんとしてくれてたことでしょうね」
「ちゃんとしてたというのは?」
「いつでも姉の味方をしてくれたからかと思ってますけど。それが嬉しかったって。お前もそうしろって何回も言われましたね」
「へー~。旦那さん、素敵・・・・・。でも、きっと君のお姉さんだから、綺麗な人で旦那さんもぞっこんなんだろうな」
「いやー、子供産んでから激太りしてただのおばさんですよ。それでも旦那さんはかわいいかわいい言ってますけどね。まあ、素敵な旦那さんなのは、本当その通りで。よくうちの姉ちゃんと結婚してくれたなって思います」

友里はいいなーいいなーと羨ましがった。

「姉の英才教育のおかげで、いつでも奥さんの味方でいるのが家庭円満の秘訣とわかったので、そう努力しようと思ってます」

理志は首を傾げて芙実の顔をのぞきこむと言った。
芙実は思わず嬉しくなって微笑む。

「すごい・・・・!こんな男の人いるんだー。なかなかいないよー。結婚前からそんなこと言う男の人」

友里は目を丸くして驚いている。

「なんだよ。それじゃ、俺がダメな旦那みたいに思われるじゃないか」

浩之が少し不貞腐れて言った。
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