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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
友里は少し恥ずかしそうに言って、へへへと笑った。
三十歳過ぎているとは思えない可愛らしさだった。
おそらく結婚前はモテたに違いない。
二人で歩いている途中も友里は何度も男性グループに声をかけられていた。
その度に適当に笑ってあしらっていた。

ガーランド作りのコーナーは小さい女の子連れのファミリーが多かった。
芙実と友里は端の方の席に座って、説明を聞きながら作業を始めた。

「わ~。かわいいハギレがいっぱい!」
「ねー!テンション上がる!」

二人できゃあきゃあいいながら三角に切られた布を選ぶ。

「あ、芙実ちゃんのネイル、かわいいー」
「職場の女子力MAXの方にやってもらいまして。あの、友里さんのネイルも綺麗ですね。それはヌーディというやつでしょうか」

芙実は友里のベージュのマニキュアで綺麗に塗られた爪をしげしげと見つめた。

「もうこの歳になると、あんまりかわいいのできないからねー」
「いえいえ、友里さん、全然お若いですよ!手なんてすべすべで、指細くって凄く綺麗」

芙実はガーランドの布を並べている友里の手を褒めた。

「嬉しい~。三十過ぎたら一気に乾燥肌になってさ。けっこう気使ってるんだよ~」
「どんなクリーム使ってるんですか?」
「テントにあるから、あとで見せてあげるよ。そんなに高くなくて、おすすめだから!手、触ってみる?」
「いいんですか?」

芙実は友里の手を取って、指先で撫でた。

「わーー~~。すべすべ!すみません、私の指、がさがさで・・・・・」
「全然がさがさじゃないよー。私なんて手抜いたら節のところぱっくる割れるもん」

ガーランドを作りながら、女子トークに花が咲く。

一人の小さい女の子がよちよちと歩いて二人のところに来た。

「あうあう」

見て見て!という風にガーランドの紐を両手に持って持ち上げている。
長い紐に様々な柄の三角の旗が並んで可愛らしく揺れた。

「わーー。かわいいね!」

二人は身を屈めて女の子に話しかけた。
すぐに女の子の親が来て、すみませんと頭を下げて連れて行く。

「・・・・・・かわいいなー」

友里がぼそっと呟いた。
芙実は、お子さんは・・・・・と尋ねようとしたが、あまりそういうことは詮索してはいけないと思い、控えた。

芙実のその表情を見て友里は苦笑した。

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