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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
芙実は浩之に何を言おうか考えあぐねていた。
友里の魅力を伝えたいが、自分が思いつくようなことはとっくに知っているだろうし、そもそも今日会った自分なんかに何を言われても響かないのではないかと、急に意気消沈する。
それでも、先ほどの涙している友里が思い出されて、芙実は何かできないかとうずうずしていた。

「・・・・・あの!友里さんみたいな魅力的な人と結婚すると、いろいろ心配じゃないですか?さっきもガーランドコーナー行くまえにナンパされてましたし。その・・・・・私の彼もよく女の人に声をかけられるので、心配なんですよね・・・・・あはは」

芙実のわざとらしい物言いに浩之は苦笑した。

「あの彼はモテるだろうね。確かに心配になるのはわかりますよ。でも、友里は三十超えてるし、世間的には需要ないですから」

謙遜なのか、本心なのか、どちらにせよ冷たい言い方をするなと芙実は思った。

「そんなことないですよ。笑顔が可愛らしくて、まだまだ全然モテると思います」

芙実は少しムキになって言った。浩之が少し驚いた様子で笑う。

「なんだか、友里のこと気に入ってもらえたみたいですね」
「はい。さっきも二人で話してたんですけど、私が男だったら、友里さんみたいな奥さんが欲しいです。少しなれ初めを聞きましたけど、数ある男子の中からご主人が見事友里さんをゲットされたんですよね?ご主人、うらやましいです」
「そんなことまで話しました?恥ずかしいやつだな・・・・・・」

浩之は口を手で覆って恥ずかしそうにうつむいた。

「まあ・・・・・そうですね。確かに、結婚前は・・・・・・他にもライバルがいたんです。それこそ、あなたの彼みたいなイケメンもいましたしね。結婚当初はなんで自分を選んだのかなと思うこともありましたけど」
「友里さん、旦那さんのこと好きなんだなって、少ししか話してませんけど伝わってきました」
「いや~。もう一緒になって長いですからね。好きも嫌いもないですよ。あなたたちも結婚するなら、長い夫婦生活でいずれそうなりますよ」

浩之が達観したような、幼子を諭すような口調で言った。
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