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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
「どうして・・・・・どうしてそこまでしてくれるんですか?優しすぎます・・・・・!私、幸せでどうにかなっちゃいそうです・・・・・・!」

理志もトングを持ったまま、ぎゅ、と芙実を抱きしめた。

「好きな子を喜ばせたいって、普通じゃない?」
「普通じゃないですよ・・・・・!私・・・・・・私、理志さんがくれる喜びに見合う喜びを、どうしたら与えられるんでしょうか・・・・・・」

理志が頭の上でクスっと笑う気配を感じた。

「芙実がそうやって喜んでくれることが、俺の喜びだよ」

理志の百点満点の回答に芙実の胸がきゅーんとなる。
理志の顔を見上げる。
優しい眼差しを見て、自分も何かしたいと、いてもたってもいられなくなる。

「理志さん、残りは私が焼きますから、座ってゆっくり食べてください!」
「いいって。俺やるよ」
「お願いです!何かしてないと、何かが爆発しそうです・・・・・!」
「あはは。爆発はいやだなぁ」

理志は、じゃあお願いと言ってトングを渡した。
二人で年末の予定をあれこれ話しながら、バーベキューを楽しんだ。
こうして一緒に楽しく過ごせる日がいつまでも続けばいいなぁと思った。
ふと、友里たちのことを思い出す。
友里と浩之もかつては、自分たちのようだったはずで、時間とともにそれが変化していくことは逃れられないのだと思うと、寂しい気持ちになった。
友里は大丈夫だろうか。あの様子で離婚の話をしてしまったら、険悪になるのではないかと大きなお世話だと思いつつ気になってしまう。

(夫婦になるって、どういうことなんだろ・・・・・・・)

芙実は理志の横顔を見て、しんみりと思う。
いつか自分たちも気持ちが別の方向に変化する時が来たりするのだろうか・・・・・・。
地上の華やかな雰囲気とは真逆に、厚い雲が空を覆って月も星も見えなくなっていた。

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