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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
(あ!そこ!気持ちいいとこッッ!あたっちゃう・・・・!!)

芙実がタオルケットに口を押し当てている時だった。
かすかに喘ぎ声が聞こえてきた。声を出さないように耐えているが、艶めいた高い声と、官能的な吐息はまさにセックスしている女のそれだった。

(・・・・・・・・え?)

最初は自分が声を上げてしまっていたのかと錯覚したが違った。
隣のテントからだった。

「はは。隣でもヤってるね」

理志が少し茶化したように言った。

(え・・・・・・?ヤってる・・・・・・って・・・・・!?)

友里と浩之がセックスしているとわかって、芙実は一瞬混乱した後、友里の気持ちを察して泣きそうになった。
二人の話し合いがどうなったかわからない。でも、友里は長い苦しみから解放されたのだ。友里の悦びの声を聞いて、芙実は自分のことのように感動して少し泣きそうになった。

「どうしたの?」

上の空になっている芙実の顔を理志が覗き込む。
理志は友里たちが長年セックスレスで、これが久しぶりの営みなのだということを知らない。自分たちと同じように盛り上がってるねぐらいの意識しかなさそうだった。
芙実はそどろもどろになりがながら、どう誤魔化したらいいか考えあぐねた。

「あ・・・・・・。いや、あの、人様の・・・・・声を聞くこととか、あたりまえですけど、ないので・・・・・」
「興奮する?」
「興奮というか・・・・・」

そういうのではないと言おうとしたが、友里の声がどんどん甘く可愛らしくなっていくのを聞いて、不覚にも興奮してきてしまった。
聞かないでおこうと思えば思うほど、耳を澄ませて声を拾ってしまう。

あの二人がすぐそこでセックスしている・・・・・・。

先ほど自分で言ったように、こんな近くで誰かのセックスに聞き耳を立てることなどしたことがなかった。

「さ、理志さんの方こそ、あんな可愛い声聞いたら興奮してくるんじゃないですか?」
「俺は彼女でもない子の声に反応しないよ。軽音やってる時しょっちゅう聞いてたけど、勃ちもしなかったし」
「・・・・・・どういうことです?」

「誰かの家で夜通し飲むじゃない。男も女も一緒になって。そうすると一組ぐらいみんなが寝たと思っておっぱじめるんだよ。ミキの喘ぎ声なんて何回も聞いたけど、全然ムラムラこなかった。飲んでるから眠くて、喘ぎ声BGMにして寝ちゃう」
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