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女ざかりの恋の音色は
第12章 【番外編】くもり空と秋晴れの空と
「でも、ほんとにエッチのアドバイスもして欲しいな」
「え!?」
「色々教えてね!」

赤面する芙実を残して、じゃあね!と言って去っていった。
友里が浩之の手を取って二人手をつないで歩いていった。

(あ・・・・・・。ガーランド・・・・・・・)

手をつないでいる二人のそれぞれの手首に、芙実があげたガーランドが巻かれていた。
それは正に勝利の証に見えて、芙実は胸が温かくなった。

(・・・・・・・よし!)

芙実はスマホを取り出して、母の連絡先を表示させると発信ボタンを押した。
一言目に何と言おうか考えようと思ったが、母はすぐに電話に出た。

「もしもし」
「お母さん。おはよう」
「おはよう。日曜の朝から電話かけてくるなんて珍しいわねえ。なあに?」
「うん・・・・・・。あのね。今度ね。その・・・・・・しょ・・・・紹介したい人がいて」
「紹介?あら。まさか、男の人?」
「うん・・・・・・・」

母はあらあらまあまあと驚きながらも嬉しそうだった。

「うちはいつでもいいですよ。いつ連れてくる?」
「まだはっきりしないけど、例えば再来週の日曜日とか」
「再来週ね。うん。大丈夫。お父さん今いないから、伝えておくわね」
「・・・・・・お父さん、大丈夫かな」
「大丈夫よ。きっと喜ぶわ」

あの父が喜ぶとは到底思えないが、まずはそこを乗り越えないと話が進まないのだから仕方ない。
芙実は詳細はまた後日と言って電話を切った。
ちょうど理志がトイレから戻ってきたところだった。
芙実たちもテントを撤去して荷物をまとめてからステージへ向かった。
昨日の雨と打って変わって、雲ひとつない晴天だった。
澄み切った秋の空は清々しく、心が洗われるようだった。
風が冷たく、季節が冬へと移っていくことを肌で感じる。

「ちょっとキャンプやるには寒かったなぁ。やっぱり夏だね。来年は苗場行こう」
「苗場・・・・・・!!」

芙実の喜びの表情に理志が微笑む。

「その時は蒼井芙実になっててほしいなぁ」

理志に言われてドキリとする。

(蒼井・・・・・芙実・・・・・・・)

「早くしないと、俺の髪、また伸びちゃうよ?」

両親への挨拶を早く済ませようと理志は言っているのだった。
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