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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
「芙実が生れてすぐに・・・・・・。ここらあたりで小学生の女の子がいたずらされたり、連れ去られたりっていうのが多発してね。隣町では今でも行方不明の子もいて。
私はもともと心配性だったのが、娘のこととなるとそれが何倍にもなってしまって。自分でも厳しすぎると思ってましたよ。門限とか人づきあいとかね。でも、もし万が一この子に何かあったらと思うと心配で心配で。実際、被害にあった本人もご両親も面識があるから気が気がじゃなくてね・・・・・。
妻にも、もう少しゆるくしてあげてと言われても、あの子が大人になるまでは何と言われても折れない!と意地になってね。芙実とも何度も言いあいになったけど、譲らなかった。子どもの成長のためにはある程度自由にさせた方がいいこともわかってます。でも私にはできなかった・・・・・・こんな親父、異常だと思うでしょう?」

父は自嘲気味に笑った。
理志はいいえと言って首を横に振った。

「お父さんとお母さんがしっかり芙実さんのこと守ってくれていたので、僕は彼女に出会えたと思ってます」

父はじっと動かずにうつむいていた。

「あの子は・・・・・・自分の命より大事な子です。あの子を大事にして欲しい。長い夫婦生活の中ではいろんなことが起きる。お互い意見があわなくてぶつかることも多々あると思う。それでも、あの子をぞんざいに扱ったり、蔑んだり、裏切るようなことはしないで欲しい。君はそんなことする人間じゃないとわかってる。でも誓って欲しいんだ」

理志はじっと父を見つめて言った。

「誓います」
「・・・・・・・もし万が一誓いをやぶったら?」
「煮るなり焼くなり刺すなり、お父さんの好きにしてください」
「・・・・・・・・」

父はなんだか落ち着かない様子でギターを手にして立ち上がると、大きな声で叫んだ。

「よよ、よーし!この話はこれでおしまい!さ!タックスマン!いくぞ!!」

理志はあはは!と笑うと自分も立ち上がった。
二人で再び演奏が始まった。
芙実はそっと扉を閉じて下に降りていった。
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