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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
ふと、理志の右手の中指に絆創膏が張られていることに気付く。

「これ・・・・・・」
「ああ、ちょっと、豆つぶれて。芙実のお母さんが絆創膏くれた」

今日の父との練習でつぶれてしまったのかもしれない。
きっと今日に向けてたくさん練習してきてくれていたのだ。
芙実の父に気に入られるために・・・・・・。芙実のために・・・・・・・。
芙実は目頭が熱くなって、パチパチと瞬きして浮かんできた涙をなんとか誤魔化した。
ぎゅ・・・・と理志の手を握り返す。

「ごめんなさい・・・・・・ありがとうございます・・・・・・・」
「こんなのベースやってたら普通だから。気にしないで」

感謝してもしきれない。理志がここまでしてくれることが申し訳なくなる。

「私も・・・・・・理志さんのご家族の方たちに気に入ってもらえるよう頑張ります・・・・・!」

来週は芙実が理志の家に行く番だった。正直言えば、理志の実家に行くのは怖いのだが、理志がここまでしてくれたのだから、自分も頑張らなくてはと気持を奮い立たせた。

「うちの場合そんなに気合入れる必要ないけど。芙実なら絶対大丈夫」
「いえ、絶対大丈夫なんてことはありません・・・・・・!自主練しておきます!」
「自主練?」
「ご挨拶の言葉と服装はもう決めてあるので、あとは笑顔の練習とお宅にお邪魔する時のマナーをもう一度確認して・・・・・・」

理志はクスっと笑って芙実の二の腕を掴んで引き寄せた。

「そのままの芙実でいいよ」

理志が芙実の唇を優しく啄ばむようにキスする。
急に離れがたくなってしまった。芙実は自分から舌を差し入れて理志の舌を探った。
理志の舌は温かく、アルコールの香りがした。

「ん・・・・・・・」

ねっとりと濃いキスを交わした後、見つめあう。

「・・・・・・明日、仕事の後、理志さんのお家に行ってもいいですか?」
「いいよ」

再び唇を合わせる。スイッチが入らないように理志がセーブしてるのがわかってもどかしい。今すぐ抱かれたいと思うが、理志の疲労を想って我慢する。

「じゃあ・・・・・・また・・・・・・・・。今日はありがとうございました」
「うん。また明日ね」

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