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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
それからは、トントン拍子に結婚に向けて進んでいった。
きちんとした形式の結納ではなく、両親の顔合わせの食事会をすることにした。
芙実の仕事が一月で終わることになっていて、マンションの契約が二月に切れるので、
一月中に食事会をした後、入籍、引っ越しをするという予定をたてた。

婚約指輪を買いに行こうという理志の提案を芙実は断った。
結婚するにあたってお金が色々とかかるし、結婚指輪だけで十分だと思っていた。

「出張ですか・・・・・・」
「うん。本当は俺じゃなかったんだけど、担当者の奥さんが入院しちゃって。急きょ俺に」

お風呂上がりにちょうど理志から電話がかかってきた。時計を見ると二十二時だった。
まだ理志は会社にいるようだった。
全国にチェーン展開している飲食店のシステム開発の案件で、各地のエリアマネージャーと打ち合わせに回らないといけないとのことだった。
理志の担当は東北地方ということで、まず初めに仙台に行くのだという。

「どのくらいですか?」
「予定通りなら二週間て言われてる」
「二週間・・・・・・」

芙実は電話片手にカレンダーを見る。

「クリスマスまでにはさすがに帰ってくるから」

理志が芙実の心を見透かしたように言った。

「あ・・・・・・・いえ・・・・・・・。お仕事ですから、それはもう・・・・・・ダメな時は仕方ないと思ってますから、大丈夫です」
「仕方なくないよ。俺が嫌だよ。大丈夫だなんて言わないで」
「は、はい・・・・・・・」

クリスマスよりも、理志と二週間も会えないことの寂しさの方が大きかった。
でも、それを口にすることは出来なかった。

「しばらく会えないけど・・・・・・。まあ、たった二週間だから。電話するよ」
「はい・・・・・・・」

電話越しに理志を呼ぶ声が聞こえた。

「あ、ごめん。出発前にいろいろ準備があって」
「はい。気を付けて行ってきてください」
「うん。また」

電話はすぐに切れた。
芙実はスマホを見て、小さくため息をついた。

(たった二週間・・・・・・・・)
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