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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
クリスマス・イヴ当日。

結局、理志の出張終了はイヴの日になった。夕方に新幹線で東京駅に到着して、そのまま芙実と落ちあうことになっていた。
芙実は理志と会う前に亜里抄とお茶をして、毎年恒例のプレゼント交換をしてきた。
長年彼氏がいなかった芙実を不憫に思った亜里抄が提案してくれたのだが、彼氏が出来た今年もいつものようにプレゼント交換ができて、芙実は喜んでいた。
亜里抄が芙実に、プレゼントは彼と一緒の時にあけてというので、中身を確認することなく理志と待ち合わせの場所へと急いだ。

クリスマスのイルミネーションがあちこちで輝き、カップルだけではなく、友人同士、会社帰りの集団など、様々な人が行き交う。
いつも以上に街全体が賑わっているように見えた。
芙実は久しぶりに理志に会う緊張感で落ち着かない気分で視線を彷徨わせていたが、待ち合わせの時間になっても理志が来ないので、次第に不安になってくる。
待ち合わせの時間から15分が過ぎていた。何かあったのではないかと連絡を取ろうとした時だった。

「芙実!」

理志の声が聞こえて振り向く。
グレーのスーツに黒いコート姿の理志が芙実に向かって手を振っているのが見えた。
理志は走ってきたようで、額にうっすらと汗が浮かんでいた。

「遅くなった、ごめん」

芙実は久しぶりに見る理志の姿に胸がいっぱいになって言葉が出ないでいた。

「怒ってる?」

理志が芙実の手を取って心配そうに尋ねる。
冷たくなった指先同士が触れ合う。それだけで涙が出そうだった。

「・・・・・・怒ってないです」
「手、冷たいな。待たせてごめん。行こうか」

理志が芙実の手を引いて歩き出す。
芙実は何も言わずに理志の少し後ろを歩いて、そっと理志を見上げた。
久しぶりに見る理志の姿は、どこか現実味がなく、何かの映像でも見ているような感覚だった。
人ごみの中を芙実が通りやすいように道を選んで歩いてくれる。
横断歩道の信号待ちで、理志と目が合う。
そこで初めて芙実は気がついた。

「・・・・・理志さん、痩せました?」
「え?ああー・・・・・。そうかも。わりとハードだったからなぁ」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。もう、芙実に会えたから」

東京に帰ってきたから、ではないことが素直に嬉しかった。
芙実は少し緊張がほぐれて、表情を緩めて微笑んだ。
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