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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
理志が何も言わずにじっと芙実を見つめる。

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・理志さん?」

信号が青になる。理志は信号を渡ることなく突然、来た道を戻っていく。

「え・・・・・・?」

カラオケや居酒屋が入っている雑居ビルの前で立ち止まる。出てくる若者たちと入れ替えにそのビルに入っていく。カラオケに行こうとでもいうのだろうか。
芙実は困惑して理志の名前を呼んだ。

「理志さん?あの・・・・・・」

理志はエレベーター前で話しこんでいる人々の横を通り過ぎて、階段の方へと向かった。
階段は薄暗くて狭く、誰もいなかった。
階段を数段上ったところで、理志は足を止めると、芙実を引き寄せてキスした。

「!」

お互いの冷たい唇が触れ合った瞬間、理志の温かい舌がねじ込まれ、すぐに溶け合う。

「んんっ!・・・・・・・・」

理志のキスは激しく、芙実は息継ぎがまともに出来なくて喘いだ。
理志の唇と舌が、芙実の唇と舌を休む間もなく貪る。

「ぁ・・・・・!は・・・・・・・ンん・・・・・!」

久しぶりの理志のキスは、会えない間に積もっていた不安を少しずつ溶かしていく。
芙実は必死に理志のキスに応えた。ずっとずっと会いたかったと心を込めた。

「芙実・・・・・・会いたかった・・・・・・・」

理志が唇を少しだけ離して囁いた。吐息が芙実の唇にかかる。

「・・・・・・・・・私も」

芙実は泣きそうになるのを堪えて言った。
理志は、今度はゆっくりと芙実の唇を味わうようにキスした。

「・・・・・・猛烈にキスしたくなっちゃって。こんなとこでごめん」
「ううん。私もしたかったから・・・・・・・」

こんな風に甘い空気になることも久しぶりだからか、妙に照れてしまう。
芙実は今さらながら、誰かに見られていないかキョロキョロとあたりをみまわした。

「早く芙実とセックスしたい」

理志がイヤリングを避けて、芙実の耳に噛り付く。

「・・・・・・・まあ、でも、クリスマスだから、やっぱり雰囲気は大事にしないとね。もっとキスしたいけど、あとのお楽しみにしようか」

理志はもう一度舌を絡めてキスすると、行こうか、と言って芙実の手を引いて雑居ビルを出た。
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