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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
レストランの予約も今日泊まるホテルも、全て理志が予約してくれていた。
代官山にある三つ星のフレンチレストランは、芙実が以前友人の結婚パーティで訪れたことがあり、いつか理志と食べに行きたいと思っていた店だった。
ところどころクリスマスの装飾が施され、照明も明るすぎず、落ち着いた雰囲気の店だった。
料理はクリスマスのコースと決まっていて、理志は慣れた様子でワインを注文した。

「理志さん・・・・・・。こういうお店、よく来るんですか?」
「ここ何年もないかなぁ。大人になってからはあんまり。子どもの頃の方が多かったんじゃない?八重子さんが良く連れていってくれたんだよね。お気に入りの店に」

理志の家で見た八重子の写真を思い出す。違和感なくこの風景に溶け込んでいたことが容易に想像がついた。

「さすが・・・・・・。おしゃれレジェンドは違いますね・・・・・・・。かっこいいなぁ・・・・・」
「俺、嫌だったけどね。静かにじっと座ってなきゃいけないし、子どもが好きそうな料理なんかなかったしさ。でも、八重子さん、こういう場所で酒が入ると色んな話してくれて。その話が聞きたくてさ。昔の男の話とか、どうやって女を抱いたら喜ぶのかとか」
「えっ・・・・・・・」

理志はいたずらっぽく微笑んだ。

「孫にするような話じゃないけどね。でも、今でも役に立ってるから、ありがたい教育だったと思うよ」

芙実は何故か恥ずかしくなってうつむいた。会ったこともない八重子がどこかで自分を品定めしているような気分になった。
色鮮やかな前菜が運ばれてきた。芙実は、わぁ~と喜びの声をあげたものの、まだ緊張が解けず、ぎこちない動きでフォークを手にした。
理志の動作をこっそり観察しながら生ハムを口に運ぶ。

「美味しい・・・・・・!」

芙実は少し緊張を解いて、しばらく料理を堪能した。
理志が優しい眼差しで芙実を見つめている。
照明が落とされた室内で見る理志は、いつも以上に優しく見えた。少し痩せてしまったから余計そう感じるのかもしれない。芙実はなんだか胸がいっぱいになってしまって、
理志とじっと目を合わせることが出来なかった。

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