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女ざかりの恋の音色は
第5章 早く二人で・・・・・
「あ、眼鏡のレンズ、ちょっと汚れてるよ。拭いたら?」
「え・・・・・・?あ、ハイ」

汚れなんて気付かなかった。さすがおしゃれな人は細かいところまで見てるなぁと思いながら芙実はハンカチを取り出して眼鏡を拭いた。

西野が立ち上がって芙実の隣に中腰になると、顔を寄せてきた。

「?」
「ほらほら、スマホ見て。あ、目細めないでね。普通に普通に」

芙実は西野が掴んでいるスマホを見た。シャッター音がして、写真を撮ったことがわかった。

「???」
「あいつに送ったろ。どんな顔すっかな。チケットの嘘ついた仕返ししてやる」

西野はイヒヒと笑ってスマホをささっと操作している。

「渋谷でデート中、と」

西野が自分の席に戻ってカフェオレを手にした瞬間に、西野のスマホが鳴った。
理志から返事が来たようだった。

「あはは!すげえ怒ってる!」

そのあとすぐに芙実のスマホが鳴った。理志からの着信だった。

「もしも・・・・・」
「どういうこと?なんで西野といるの?」
「渋谷に公開ラジオ聞きにきたら、たまたま会って・・・・・・」
「なんで俺だとすぐ帰ろうとするのに、西野とはお茶してんのよ」
「チケットのお礼をしようと思っただけです」
「しかも眼鏡外してるし・・・・・。俺だってまだ見てないのに!」
「め、眼鏡が汚れたから、外して拭いてる間に撮られたんです。第一、そんな価値あるものじゃないです」

なんで弁明しているのだと思いながらも、理志が怒っている気がして芙実は慌てながら言った。

西野がスマホを取り上げる。

「妬くなよ。フェスにお前と行けるのが楽しみで、早くいきたいなぁってずっと言ってるよ。良かったな」

(い、言ってない言ってない!!)
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