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女ざかりの恋の音色は
第10章 激しい嫉妬
「芙実が誰かに取られたらどうしようって。今日みたいにすごく可愛くなって、みんなが芙実の良さに気付いて、芙実の方も、俺よりずっといい男に言い寄られたら、そっちに気持ちがいくんじゃないかって・・・・・・。ガキすぎて、ダサすぎて、かっこわりー・・・・・・」
「理志さん・・・・・・」
「もう、ちょっとおかしいくらい嫉妬してる・・・・・・」

芙実は理志の嫉妬の理由を消化するのに時間がかかってるみたいだ。
握られた手をじっと見つめて考えている。

「私、全然そんな・・・・・理志さんが思ってるみたいな魅力ないですけど、とにかく、他の人が、とか・・・・・・」

芙実は言いたいことがうまくまとまらないみたいで、何度も止まりながら言った。

「理志さん以外の人とか、考えられないです・・・・・・。せっかく誘ってもらっても、うじうじ鬱陶しい返答しかできない私のこと、理志さんが諦めないでいてくれたから・・・・・。私の変な・・・・・部分も受け止めてくれたから・・・・・・。こんな自分でも幸せになっていいんだって思えて・・・・・・」

芙実は意を決したように顔を上げて理志をまっすぐ見つめた。

「私、何年もずっと恋愛もしてなくて、ほんとうに枯れた人生で、でもそれを取り戻せるくらい・・・・ううん、お釣りがくるぐらいに今、幸せな恋愛してるなって思うんです。理志さんじゃなきゃ、こんなに幸せ感じられません・・・・・!」
「芙実・・・・・・」
「理志さんが嫌なら、もうこんな格好しません。理志さんに気に入ってもらえないなら意味ないから・・・・・。私、よくわからないから、はっきり言ってください。理志さんに気に入ってもらえるように、努力しますから・・・・・・・」

芙実の目の端に涙が浮かんでいる。
理志は胸がぎゅっと締め付けられて、何か言ってあげたいのに、喉に何か詰まったように何も言えないでいた。

理志は芙実を抱きしめた。
愛しい気持ちが溢れてどうしたらいいかわからない。
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