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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
「り、遼さん……」
「お、お疲れ様です」

気まずい顔の二人にご苦労さま、とだけ言い残し、彼は会場に向かった。
デパートの催事場という事もあって、一週間にわたって催された花展は、盛況といっていい賑わいだった。閉会時刻の五時まであと半時、遼は忘れ物を探すような視線で会場を見渡した。

入口正面に置かれた彼の作品は今回一番の注目を集めた。金屏風を背にした色鮮やかな生け花。複雑な動きの葉と枝をバランス良く配置し、赤、紫、白の花が気品と優雅さを醸し出す。空間を活かした風情ある作風は、冬という季節に清らかな彩りを添えていた。
満足な仕上がりだったが彼は憂鬱だった。それは、さっき耳にした戯言のせいなどではなかった。会場の一番奥にその原因が佇んでいる。
なぜ彼女は、そこでなければならないのか、あんな作品のどこに惹かれるのか。昨日と同じ時間に現れ、他の作品には目もくれずにそこに立ち続ける。
なぜだ……

女はことさら熱心に見入っているでもなく、むしろ冷めた視線で、見下すようにその花を見ていた。

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