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我が運命は君の手にあり
第5章 第五章
ふと、遼が話していた一時金の事が頭を過った。
「旦那様」
「 どうした」
「あの、……祖母の入居時の一時金なんですが」
染井の迎えを待つ間、冴子は『涼風の森』についての詳細を携帯で調べ、入居一時金の額を知って目を丸くした。給料の二年分を揃えても到底足りなかった。
「気にしなくていい」
「そういうわけにはいきません、散々お世話になっていますし、少しずつお返し……」
「冴子、いいんだ」
ミラーに映る目が厳しく光った。
「でも……」
「言っただろう、悪いようにはしないって。君が気にやむ事はない」
「でもこれは」
「話は終わりだ、いいね」
お金持ちは理解出来ない。最初から私を囲う事が目的だったのだろうか。
(……囲う……囲われ者)
冴子は既に、染井剛介の放蕩ぶりを耳にしていた。
「どうした」
「いえ」
だからどうだというのだ。明日の不安がないという事が、どれ程幸せな事か。冴子は祖母を見舞う度に実感し、感謝していた。
「旦那様」
「ん?」
「私は、旦那様のご厚意にどう応えていけばいいのかわかりません」
「旦那様」
「 どうした」
「あの、……祖母の入居時の一時金なんですが」
染井の迎えを待つ間、冴子は『涼風の森』についての詳細を携帯で調べ、入居一時金の額を知って目を丸くした。給料の二年分を揃えても到底足りなかった。
「気にしなくていい」
「そういうわけにはいきません、散々お世話になっていますし、少しずつお返し……」
「冴子、いいんだ」
ミラーに映る目が厳しく光った。
「でも……」
「言っただろう、悪いようにはしないって。君が気にやむ事はない」
「でもこれは」
「話は終わりだ、いいね」
お金持ちは理解出来ない。最初から私を囲う事が目的だったのだろうか。
(……囲う……囲われ者)
冴子は既に、染井剛介の放蕩ぶりを耳にしていた。
「どうした」
「いえ」
だからどうだというのだ。明日の不安がないという事が、どれ程幸せな事か。冴子は祖母を見舞う度に実感し、感謝していた。
「旦那様」
「ん?」
「私は、旦那様のご厚意にどう応えていけばいいのかわかりません」