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我が運命は君の手にあり
第5章 第五章
「おいで、癒しの空間だ。この台の上で土を捏ね、成形して乾燥させる。私は手びねりが好きなんだが、ろくろも得意でね。あの扉の向こうには小さいが窯もある」
いかにも工房らしい室内に立った冴子は、慣れてきた目で周囲をぐるりと見回した。棚に並んだ発泡スチロールの箱や道具入れ、作業台、腰掛け。ターンテーブルを備えた機械がろくろだろう。窓際の棚には湯呑みや茶碗、マグカップ、ぐい呑みなどが無造作に置かれている。
「そっちは失敗作だよ」
「触ってもいいですか?」
「うむ、欠けたり歪みが出てしまってね」
手に取った白いマグカップは見た目より重く、丸みと厚みがあった。歪みとは、飲み口が波打っているからなのか。
「気に入ったなら持っていくといい」
「いいんですか?」
「ああ、そこにあるのは割ってもいいやつばかりだ。ははっ」
今日の染井は機嫌が良いらしく、冴子もつられて微笑んだ。
「大切にします、けっして割らないように」
いかにも工房らしい室内に立った冴子は、慣れてきた目で周囲をぐるりと見回した。棚に並んだ発泡スチロールの箱や道具入れ、作業台、腰掛け。ターンテーブルを備えた機械がろくろだろう。窓際の棚には湯呑みや茶碗、マグカップ、ぐい呑みなどが無造作に置かれている。
「そっちは失敗作だよ」
「触ってもいいですか?」
「うむ、欠けたり歪みが出てしまってね」
手に取った白いマグカップは見た目より重く、丸みと厚みがあった。歪みとは、飲み口が波打っているからなのか。
「気に入ったなら持っていくといい」
「いいんですか?」
「ああ、そこにあるのは割ってもいいやつばかりだ。ははっ」
今日の染井は機嫌が良いらしく、冴子もつられて微笑んだ。
「大切にします、けっして割らないように」