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我が運命は君の手にあり
第6章 第六章
「じつは今度、駅近くのカルチャーセンターで講師をやることにしたんだ」

ハンドルを右に切りながら遼が得意気に話す。

「カルチャーセンター、ですか?」
「うん、いけばなに少しでも興味のある人達を集めて、染井流を広めるのが目的。だから料金も低く抑えてる」
「それは素敵ですね。気軽にお稽古できるなら、ちょっとやってみようかな、って思う人がたくさんいると思います」
「まずはきっかけが大事だからね」

それは、時江のちょっとした呟きからヒントを得たものだったが、今までのやり方を変えたかった遼は、すぐに行動に移した。何も持たずに参加できる。活けた花を持ち帰る事が出来る。その先の利益に繋げていくのは、彼の手腕に掛かっていた。

「事務局の守沢さんとは上手くやってますか?」
「はい、頼りになる先輩です」
「あははっ、お節介な所もあるけどね」
「温かい方です」
「うん、間違いない」
「はい」

冴子はどこか時江に似ていた。いつも、壁を一枚隔てた向こう側にいる。それは彼を少し傷つけはしたが、このまま引き下がる気は毛頭ない。誰にも抱いた事のない感情が背中を押した。壁があるなら崩せばいい、焦らず少しずつ。そう思いながらも彼は、バッグに置かれた華奢な白い手を、握りしめたい衝動にかられた。






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