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我が運命は君の手にあり
第6章 第六章
「はーい」

一人がその場を去ると、「遼さんごゆっくり」と別の一人が、水のグラスを置いた。

「彼女さんもごゆっくり」

こら和樹、と店主に注意されて首をすくめた彼は、ちょろっと舌を出してレジに向かった。

「明るい雰囲気のお店ですね」

彼らの会話を気にする風でもなく、冴子はグラスの水をひと口飲んだ。

「うん、俺ずっと秋津さんを連れてきたかったんだ」
「はい、ラーメンに餃子」

店主が出来上がったものをカウンターにのせ、遼にニヤリと笑った。

「ところで遼さん、こちらのお嬢さんは?」
「え、親父さんも訊くんですか?」
「だってねぇ、この五年一人で来てた常連さんが、予約までして女性とふたりで来るなんてさ、誰だって気になるでしょ普通は。あ、さぁさどうぞ、食べて食べて」

冴子は俯きがちに微笑んでいた。

「秋津さん食べよう、麺がのびるよ」
「はい、頂きます。おいしそう」

店主はカウンターの向こうで腕を組み、店内を見渡しながらちらちらと視線を寄越した。

「彼女は事務局にいるんです」
「へぇー、それじゃ仕事のお仲間」
「そういうこと」

遼の目をじっと見つめた彼は、軽く二度頷いた。

「あ……なるぼど、そういうことですか。それじゃあ、えっと秋津さんでしたっけ? お近づきに一杯。和樹、こちらに生ひとつ。ひとつでいいぞ、遼さんは車だ」

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