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我が運命は君の手にあり
第6章 第六章
「はい生一丁っ」
「いえあの、私は……」
「いいんですよ、遼さんのお連れさんは家族同然、ははっ。遼さんはコーラにしときますね」
「ありがとうございます」

二人は軽くグラスを合わせて喉を潤した。
髪をひとつに纏め、静かに箸を割る仕草に見とれていた遼は、彼女が麺をすすり「美味しいです」と、こちらを向いてやっと我に返った。

「あ、あぁ、良かった気に入ってくれて。餃子もつまんで?」

和やかに時間が過ぎた。店のざわめきが二人を優しく包む。店主は二人を気遣い、厨房であれこれ指図している。遼はこの店に来たきっかけや、二年前に女将さんが亡くなった事など、思い出を交えて懐かしげに語ってみせた。

「人情味のある方なんですね。お店が繁盛するのわかります」
「そうなんだ。俺の唯一の息抜きの場」
「そういう場所って大切だと思います」

口数は少なかったが、冴子の言葉には温かみがあった。仕事を離れた彼女をもっと知りたかったが、まずは自分を知ってほしかった。

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