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我が運命は君の手にあり
第6章 第六章
駐車場に着いた二人は車に乗り込んだ。

「××駅の近くだったよね、 駅は分かるからそこから教えて? 」
「いえ、駅まで送ってもらえれば大丈夫です」
「夜道を一人で歩かせるなんて出来ないよ。家の前まで送ったらちゃんとサヨナラしますから。紳士ですからボクは」

遼の冗談に目を見開いた冴子がくくっと笑った。彼は飛び上がるほど嬉しかった。

「では、お言葉に甘えて」
「はい」

夜を抜け、朝日に向かって走っているようだった。今なら訊いてもいいのではないか。

「あの、秋津さんて、お付き合いしてる人いるんですか?」

言ってしまってから心臓が暴れだした。

「……お付き合い」
「はい」
「……いえ、そんな人はいません」
「じ、じゃあ好きな人は」

付き合っていなければチャンスはいくらでもあった。

「いません」
「ホントに?」

信号が赤になり、遼は冴子を見つめることが出来た。

「えぇ、誰かを好きになるって難しいですよね」

冴子が目を伏せる。

「え、そうかな。ちっとも難しくないし自然だと思うけど」
「それは、お家元が純粋だからです」

お家元、という言葉が邪魔だった。立場を重んじる彼女の律儀さが、二人を隔てているに違いない。

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