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我が運命は君の手にあり
第6章 第六章
玄関の物音に気付いた時江が奥からいそいそと出てきた。

「おかえりなさいませ」
「ただいま。時江さんまだ起きてたの?」
「まだ十時前ですよ。食事会だと聞いていましたので、お帰りはもっと遅くなるかと……」

時江は遼の靴の汚れを点検し、そっと靴箱に仕舞った。

「うん、今日はいつもと違った。あ、ビール冷えてるかな、缶ビールでいいんだけど」
「はい、すぐ居間に持っていきます」
「ありがとう」

時江は遼が何処で何をしていようと、問いただしはしない。彼が食事の相手を前もって伝える事もあったが、女性と一緒の時はわざわざ報告しなかった。
生活面で厳しい事を言っていた時江も、遼と姉の由梨が高校を卒業してからは分をわきまえ、家政婦の仕事に徹してくれていた。

「親父は寝たの?」
「はい。昨夜は随分遅くお帰りのようでしたので、お疲れだと思います」
「どうせ朝帰りだろ」

時江は染井剛介の行動に関しても当然口を挟まず、父と子の微妙な関係にも干渉する事はなかった。

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