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我が運命は君の手にあり
第6章 第六章
缶ビール片手に茄子の揚げ浸しを箸で摘まんだ。

「うん、旨い。ビールまだあるかな」
「はい」

時江が飲めないのが残念だった。家では滅多に飲まないが、今日は酒の力を借りて誰かと話したかった。
二本目のビールを受け取った彼は、立ち上がりかけた時江を呼び止めた。

「人って裏切ると思う?」

唐突な質問をどう受け止めたのか、時江が円卓の向こう側に腰を下ろした。

「付き合い方によるんじゃないでしょうか」
「……じつはある人に言われたんだ。確信を持った言い方だったから、きっとそういう辛い経験をしたんだと思う」
「あるいは……自分自身がそうしてきたのでは?」

不意を突く言葉だった。

「え? ははっ、それはないよ。彼女はそんな人じゃないし」
「女性ですか?」

しまった、と舌打ちしたが既に遅かった。否定は出来ず、こちらから意見を求めた手前、つい本音を口にした。

「じつは、気になる人がいて」
「おすすめ出来ませんね」

間髪いれずに否定され、思わず身を乗り出した。

「え、なんで?」
「……遊びならともかく、将来を見据えてのお付き合いならやめた方がいいと思います」

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