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我が運命は君の手にあり
第6章 第六章
「ははっ、俺にとって咲ちゃんはいつまでも子供さ」
「も~、そんな事言うのは遼さんだけですよ」
受付けにいる冴子に手で合図した。
「秋津さん、お疲れ様です。これ彼女からの差し入れ、休憩時間にみんなで食べよう」
「まぁ咲さん、ありがとうございます。冷たい飲み物如何ですか?」
「いえ、もうすぐ父が迎えに来てくれるのでお構い無く」
冴子は薄紫の紗の着物に、手鞠柄の白っぽい帯を合わせていた。その後ろ姿は大人の色香が漂っていて、遼ははっとしてを逸らせた。和服の女性を伴って歩くのは男として誇らしい。食事の約束を取り付けていた彼は、今宵ただの男になって、彼女のすべてを崇め、思いを遂げるつもりだった。
「あ、お父様」
口髭をたくわえた恰幅のいい男に咲が手を振っている。背格好は染井剛介よりも幾分小柄で、目尻が下がっているせいか柔和な表情で愛嬌がある。
咲の声を聞き付け、客を案内していた二人の師範が入口へと急いだ。遼と師範、冴子の四人は揃って頭を下げた。
「おじさん、ご無沙汰しております」
「おぉ、遼君か、しばらく見ない間に立派になったなぁ。どうだい、染井流の家元は大変かい?」
落ち着いた声は余裕のある証だ。
「はい、大変な事もありますが、やりがいがあります」
「も~、そんな事言うのは遼さんだけですよ」
受付けにいる冴子に手で合図した。
「秋津さん、お疲れ様です。これ彼女からの差し入れ、休憩時間にみんなで食べよう」
「まぁ咲さん、ありがとうございます。冷たい飲み物如何ですか?」
「いえ、もうすぐ父が迎えに来てくれるのでお構い無く」
冴子は薄紫の紗の着物に、手鞠柄の白っぽい帯を合わせていた。その後ろ姿は大人の色香が漂っていて、遼ははっとしてを逸らせた。和服の女性を伴って歩くのは男として誇らしい。食事の約束を取り付けていた彼は、今宵ただの男になって、彼女のすべてを崇め、思いを遂げるつもりだった。
「あ、お父様」
口髭をたくわえた恰幅のいい男に咲が手を振っている。背格好は染井剛介よりも幾分小柄で、目尻が下がっているせいか柔和な表情で愛嬌がある。
咲の声を聞き付け、客を案内していた二人の師範が入口へと急いだ。遼と師範、冴子の四人は揃って頭を下げた。
「おじさん、ご無沙汰しております」
「おぉ、遼君か、しばらく見ない間に立派になったなぁ。どうだい、染井流の家元は大変かい?」
落ち着いた声は余裕のある証だ。
「はい、大変な事もありますが、やりがいがあります」