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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
「私の焼いた花器は値段がつけられないんだがね、ふふっ」

家元の含み笑いがその場を凍りつかせた。女は彼に向き合い、更に深く頭を下げた。

「申し訳ありません」
「君、名前は?」
「は、はい。秋津冴子と申します」
「秋津冴子さん」

スーツの内ポケットから名刺入れを取り出した彼は、慣れた手付きで一枚を差し出した。

「後でここに連絡して」
「は、はい」

父の高慢な態度に黙っていられず、遼が口を挟んだ。

「親……、お家元、なにもそこまでしなくても」

コートを受け取った父が、振り向き様に笑みを浮かべた。

「なぁに、とって喰いやしないさ。あぁ、ところでみんな、体験講座の希望者が増えたようだね、ご苦労さん。いつもの所を予約してあるから、あとはゆっくり楽しんでくれ。私は別件で打ち合わせがあるからこれで失礼するよ」

張りつめていた空気が少し緩んだ。

「お疲れ様でした」
「ご馳走になります」
「お家元、お気をつけて」

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