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我が運命は君の手にあり
第7章 第七章
咲を交えた綾辺豊との会食は、冴子との約束を反故にしても価値あるものとなった。遼は興奮で寝付けず、浅い眠りのまま朝を迎えても身体は軽い。顔を洗って鏡を見ると、自信に満ちた顔がこっちを見ていた。

「どうだい遼君、悪い話じゃないだろう?」

綾辺は言った。再来年春の完成を予定しているというホテル。そのエントランスやエレベーターホール、また、挙式や宴会の際に設置する生け花を、すべて染井流にお願いしたい。同時進行で綾辺グループの社員やパートから希望者を募り、染井流生け花を習得させる。ゆくゆくはすべてのホテルや料亭を季節の花で彩り、それを売りにしてグループ全体の集客率を高めたい。

綾辺からの願ってもない申し出に、遼の心は躍った。

「光栄です。なんと申し上げていいのか……。綾辺様、染井流家元として最善を尽くします。今後ともよろしくお願いします」

深々と頭を下げた。

「はははっ、近所のおじさんから綾辺様に格上げか。なあ咲、彼は見所がある」
「そうよお父様、きっとうまくいくわ。ねえ遼さん」
「うん、ありがとう咲ちゃん。みんなも喜ぶよ」

こんなありがたい話はもうないだろう。天の恵みとさえ思える。

「まあ飲みなさい、咲、注いであげて」
「はい」






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