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我が運命は君の手にあり
第7章 第七章
昨夜すぐに冴子に伝えたかったが電話の様子から体調が気になった。守沢直美からも冴子からも連絡がないという事は、今日は休みではなさそうだ。今夜だ。打ち上げの後で彼女を誘おう。もし休みを取っていたら、見舞いに行って顔を見たい。一目だけでも会いたい。

身支度を整え階段を下りると、既に朝食が並んでいた。

「おはようございます」
「おはようごさいます。時江さん、親父は?」
「そろそろ起きる頃かと」

遼はほくそ笑んだ。父が出来なかった、いや、やろうともしなかった大口の契約を取り付けたことで、周囲の見方は変わる。誰にも文句は言わせない。
遼は茶を注ぐ時江をそこに座らせ、昨夜の事を話して聞かせた。

「まあ、綾辺様が……。それはありがたいお話ですね」
「だろう? 俺も驚いたけど、めったにないチャンスを逃すわけにはいかないからね」
「綾辺様は信用のある方ですし、幅広い人脈で知られた方ですから、今回の事が軌道に乗れば今後ますます……」

何度も頷き、時江の話を遮って息巻く遼。

「うかうかしてられないよ。明日は休みを返上して会議を開くから」
「はい、準備しておきます」

遼はごちそうさま、と言って立ち上がった。

「あの、咲さんは?」
「え? ああ、一緒に喜んでくれたよ」
「……お家元、どうか咲さんを大事になさってください」
「ははっ、わかってるさ、いつも大事に思ってるよ。じゃ、いってきます」






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