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我が運命は君の手にあり
第7章 第七章
赤みを帯びた頬で水を飲む彼女のうなじは白く、黒髪に映える白椿のかんざしは気品を漂わせている。それは冴子そのものだ。
ただ、甘い味に惹かれて飲んでしまうアレクサンダーはアルコール度数が高く、知らず知らずのうちに酔いが回る。遼は入店時にバーテンダーと目を合わせた時には心が決まっっていた。

「染井流のお家元として、皆様からの……期待は、ますます高まりますね」

とろんとしてきた目が酔いを表していた。

「冴子さんにも協力して欲しい」
「はい、私も、スタッフの皆さんと、協力し合って……」

冴子が目を閉じて胸を押さえ、呼吸を整えた。

「すみません、もう一杯お水をください」
「大丈夫? 酔ったかな、少し休もう。……部屋を取ってるんだ」
「部屋? 」

冴子はすぐに首を振った。

「……俺の気持ちは知っているでしょう」
「ごめんなさい、私……遼さんの気持ちにお応えする事は出来ないんです。本当にごめんなさい」

北沢や他の女達とは異なった反応の女を、手に入れたい気持ちが強くなった。

「……冴子さんは恋愛を怖がってるんだ。俺は絶対に裏切らないよ、冴子さんを変えてみせる。辛い思いなんてさせないから」
「そんな、違うんです」
「違わないよ」

周囲の視線を感じた遼は、スタッフに合図して立ち上がった。

「行こう」

遼は勘定を済ませ、冴子を支えた。そして、バーテンダーに目配せをしてから店を出た。



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