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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
「あら、咲ちゃん、ちょうどいいところに来たわ。お手伝いしてくれたら焼肉が待ってるわよ」
「やったぁ。うふふ、じつはエスカレーターでおじさまとすれ違ったんです。打ち上げの事聞いて張り切っちゃいました。もちろんお手伝いしますよ」
「ありがとう、頼むよ」
幼馴染みの綾辺咲は六つ年下で、二十三になった今も無邪気さは変わらない。綾辺家とは古くから家族ぐるみの親交があり、咲は就職してからも花展にはよく顔を出した。その笑顔を見ながら遼はふと、冴子の履き古したスニーカーを思った。
彼女はどうするだろう。こっちに連絡を寄越すだろうか。もし彼女から連絡が来たら、あいつはどうするつもりなのか。
(……はっ、ばかな)
ただの杞憂に過ぎない。だが、振り払えない疑念が頭をもたげてくる。脳裏に刻まれた闇。そこに、素足でひたひたと廊下をゆく時江の背中が浮かび上がった。
「遼さん、このお花、少し頂いちゃっていいですか?」
「ん? あぁ、好きなだけ持っていって」
あまりに飛躍し過ぎた自分の想像を、彼はすぐに打ち消した。あの女のどこに魅力があるというんだ。見窄らしくて表情も暗い。世の中の不幸を全部背負っているような雰囲気じゃないか。あんな女、俺なら絶対にお断りだ。
「やったぁ。うふふ、じつはエスカレーターでおじさまとすれ違ったんです。打ち上げの事聞いて張り切っちゃいました。もちろんお手伝いしますよ」
「ありがとう、頼むよ」
幼馴染みの綾辺咲は六つ年下で、二十三になった今も無邪気さは変わらない。綾辺家とは古くから家族ぐるみの親交があり、咲は就職してからも花展にはよく顔を出した。その笑顔を見ながら遼はふと、冴子の履き古したスニーカーを思った。
彼女はどうするだろう。こっちに連絡を寄越すだろうか。もし彼女から連絡が来たら、あいつはどうするつもりなのか。
(……はっ、ばかな)
ただの杞憂に過ぎない。だが、振り払えない疑念が頭をもたげてくる。脳裏に刻まれた闇。そこに、素足でひたひたと廊下をゆく時江の背中が浮かび上がった。
「遼さん、このお花、少し頂いちゃっていいですか?」
「ん? あぁ、好きなだけ持っていって」
あまりに飛躍し過ぎた自分の想像を、彼はすぐに打ち消した。あの女のどこに魅力があるというんだ。見窄らしくて表情も暗い。世の中の不幸を全部背負っているような雰囲気じゃないか。あんな女、俺なら絶対にお断りだ。

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