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我が運命は君の手にあり
第8章 第八章
「秋津さんみたいに綺麗に着こなせるように頑張ります」

嫌味の欠片もない素直な口調だった。

「私なんてまだまだです。咲さんならすぐに着こなせますよ」
「そうだといいんですけどね。じつは、時江さんに教わるんです」
「まぁ、そうですか。時江さんはきちんと教えてくださるので上達も早いと思います」

あの部屋にあの娘が入る。時江さんと私の部屋、旦那様と初めて交わった部屋にこの娘が。

「そう言ってもらえて安心しました。また花展に顔を出しますね。お仕事中すみませんでした、失礼します」

人懐っこさは父親譲りなのだろう、だが冴子には煩わしい。染井家と親しい間柄なのだから、家を行き来するのは当然だ。部外者は私の方だ。わかっていたが心は乱れる。

「あら、咲さんから?」

メモを見た守沢が「時江さんがどうかしたの?」と続けて訊ねた。

「はい、着付けを習うそうです。あと、花展の日程をお知らせしました」

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